2000 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザルの二足運動能力に関する解剖・生理・運動学的総合研究
Project/Area Number |
12440245
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中務 真人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00227828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平崎 鋭矢 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 助手 (70252567)
浜田 穰 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (40172978)
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Keywords | 霊長類 / 運動学 / 生理学 / 適応 / 二足性 / 代謝 / キネマティクス / 骨の成長 |
Research Abstract |
常的な二足性はヒトのみに見られる行動様式であり他に二足性の霊長類はいない。そのため、二足適応の進化に関する比較資料が不足している。これを補うため、飛び抜けた二足運動能力を示す猿まわしの調教ニホンザルについて、形態学、生理学、運動学的調査を行った。実験は熊本県、阿蘇猿まわし劇場に赴いて行った。今年度は研究2年目以降の調査のための実験設備、条件の設定、実験のためのサルの調教、基礎的資料の収集が中心であった。 基礎代謝量と運動時の酸素消費量を測定するため、実験用チャンバーの作成を行い、気密性、計測条件、計測誤差等のテストを行った。チャンバーは約2m四方の大きさで、気密状態で10秒後から、1ppm単位で二酸化炭素の増加量が計測できた。ニホンザル程度のサイズの動物であれば、約2分間の安静状態維持、あるいは歩行運動を行えば、十分に信頼性の高いガス消費量が得られると考えられる。現在、実験サルをチャンバーに順応させる訓練を行っている。また、実験に必要なトレッドミル上での二足および四足歩行訓練を行った。年少ザル(約3才)2頭、ワカモノザル(約6才)2頭を実験対象とした。安定した二足歩行速度は年少ザルで時速3km、ワカモノザルで時速4kmであった。トレッドミル上での歩行に順応した段階で後肢の運動を三次元的に計測し、関節角度の変化を定量化した。解析には2方向撮影のビデオ画像からDKH製フレームディアズを用いた。二足歩行の適応を骨格の成長から明らかにするため、X線撮影を行った。撮影箇所は足と手で、中足骨と中手骨の緻密質の厚さを計測した。また、その比較のため、アメリカ自然史博物館、フィールド自然史博物館で資料収集を行った。成長変化を明らかにするため、歩行運動撮影、X線撮影は今後継続する。これらの実験データは現在分析途中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masato Nakatsukasa,Sugio Hayama: "Skeletal response to bipedalism in macaques : with emphasis on cortical bone distribution of the femur"Cour.Forschungsinst. Senckenb. (in press).
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[Publications] Masato Nakatsukasa et al.: "Morphology of the Hallucial Phalanges in Extant Anthropoids and Fossil Hominoids"Zeit. Anthrop. Morphol.. (In press).