2000 Fiscal Year Annual Research Report
実空間トランスファを利用したシリコンベース量子構造による遠赤外光発生
Project/Area Number |
12450005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深津 晋 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60199164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 清 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40302822)
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Keywords | シリコン系半導体 / 遠赤外光発生 / サブバンド間遷移 / 実空間トランスファ / 非平衡電子分布 / 高移動度トランジスタ(HEMT) / SiGeOI基板分離構造 / 分子線エピタキシー(MBE) |
Research Abstract |
本研究は、シリコン系半導体における遠赤外光発生を目指す。同材料による光発生の研究は応用物性の一大勢力であるが、バンド間遷移に拘泥する限り、間接遷移固有の選択則と小さな振動子強度の呪縛が容易には解けない。しかしサブバンド間遷移によれば、間接遷移の性質は障害とはならない。本研究の目的は、シリコンベース量子構造における実空間トランスファを利用することにより、サブバンド間遷移に基づく遠赤外光発生を試みることである。そのためには、移動度の異なる2つの隣接チャネルにおける実空間トランスファと非平衡電子分布が必要となる。本年度では、高移動度トランジスタ(HEMT)の基礎となるシリコンベース量子構造の形成を行った。分子線エピタキシー(MBE)によりSiGe層をエピタキシャル成長し、プラズマトロンによる酸素イオン注入の後、高温アニールによりSiGeOI基板分離構造の形成を試みた。HEMTの障壁高さを100meV以上にする必要があることが計算から見積もられるが、これは、SiGeの組成が20%以上になることを意味する。ところがミクロ構造および光学評価からは、組成の大きなSiGeは酸化によって著しい浸食を受けることが判った。そこで組成の異なるSiGe試料に対する酸素イオン注入とSiGe-OI構造形成を系統的に調べることにより、SiGe-OI達成のためのSiGe組成の上限が30%であることを見出した。さらに、MBEを利用したHEMT構造形成を行った。その結果、大気搬送SiGe上へのSiGe再成長はGe組成の上昇とともに酸化層の影響を強く受け、エピタキシが破綻することがわかった。HEMT形成にはこの困難の克服が課題となる。一方、実空間トランスファ容易な構造実現のため、チャネル平行方向の輸送特性を不純物と界面ラフネス散乱を取り入れたモンテカルロシミュレーションで評価することに着手した。
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[Publications] Y.Ishikawa: "Factors limiting the composition window for fabrication of SiGe-on-insulator substrate by low-energy oxygen implantation"Thin Solid Films. 369. 213-216 (2000)
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[Publications] Y.Sugawara: "Field-enhanced Stokes shifts in strained Si_<1-y>C_y/Si (001) quantum wells"Thin Solid films. 369. 402-404 (2000)
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[Publications] Y.Kishimoto: "Anomalous surface absorption band at 1.2eV in Si_<1-x>Ge_x alloy-based structures"Thin Solid films. 369. 423-425 (2000)
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[Publications] S.Fukatsu: "Si (Ge)/oxide-based heterostructures and their applications to optoelectronics"Applied Surface Science. 159/160. 472-480 (2000)