2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12450007
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗片 比呂夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60270922)
|
Keywords | 磁性体・半導体融合構造 / GaAs / Fe / 超常磁性 / ナノクラスター / 光誘起磁性 / 分子線エピタキシー / 光磁気記録 |
Research Abstract |
キャリヤ誘起磁性の常温における実現を模索する場合、金属磁性体の有する高いキュリー点を生かしつつ、全体的な磁化の過程をいかに半導体キャリヤにより制御するかという視点があって良いと考えた。このことを追究するために、産業的にも重要なGaAsとFeとから構成される複合構造の作製と光誘起磁性の可能性を検討した。ただし、化学結合や結晶構造が大きく異なる半導体と磁性金属とを積層化することは困難であることが予想されたので、極微な磁性体粒子を内包するような半導体素材を想定し、分子線の交互供給法によりそのような構造のGaAs(100)基板上への作製を研究した。 原子間力顕微鏡、電子顕微鏡、X線回折法などで調べた結果、得られた試料は比較的大きなFeAs粒子とGaAs多結晶薄膜から構成されており、さらに、磁化曲線の詳細な解析により、GaAs多結晶膜中には大きさ10nm以下のFe系強磁性体微粒子が多数分散していることがわかった。 この複合試料に光照射すると、室温を含む広い温度領域で、磁化率の顕著な増大が認められた。光照射を停止すると、磁化は元の暗状態の値に直ちに戻る。このことから、この現象が試料の組成や構造の不可逆的な変化によるものでないことがわかる。微粒子が極めて小さく、超常磁性的な振る舞いをすると仮定して磁化データを解析すると、低磁場領域で急峻に立ち上がる成分は、大きさ3nm程度の強磁性微粒子による磁化と解釈できる。更に、光照射により変化する成分は、大きさ0.7nm程度の強磁性微粒子による磁性と同定され、光照射により微粒子間に強磁性的な相互作用が誘起されたと解釈できる。このような現象や性質を有する半導体や磁性体はこれまでに知られていない。この発見は磁性体と半導体の複合材料設計に新しい方向性をもたらすものと期待される。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] S.Haneda,M.Yamaura,Y.Takatani,K.Hara,S.Harigae and H.Munekata: "Preparation and characterization of Fe-based III-V Diluted Magnetic Semiconductor (Ga, Fe) As"Japan Journal of Applied Physics. 39. L9-L12 (2000)
-
[Publications] S.Haneda,H.Munekata,Y.Takatani and S.Koshihara: "Fe-based magnetic-semiconductor hybrid structures for photocarrier-induced magnetism"Journal of Applied Physics. 87. 6445-6447 (2000)
-
[Publications] 宗片比呂夫: "磁性混晶半導体"日本結晶成長学会誌. 27. 225-231 (2000)
-
[Publications] Y.Takatani,S.Haneda,M.Yamaura,M.Tachibana,and H.Munekata: "Preparation of (Ga, Fe) As and its photo-magnetic characteristics"Inst.Phys.Conf.Series (Paper presented at 26^<th> Int.Symp.Compound Semiconductors, Berlin) . 166. 83-86 (2000)
-
[Publications] S.Haneda,S.Koshihara and H.Munekata: "Formation of FeAs and Fe crystallites in GaAs-Fe composite structures and their roles in light-enhanced magnetization"The Intrn'l Conf.on the Physics and Application of Spin-Related Phenomena in Semiconductors, Abstract booklet. 146-147 (2000)
-
[Publications] 近藤剛,宗片比呂夫: "ポリジアセチレン薄膜の初期形成過程と三段階堆積法"Molecular Electronics and Bioelectronics. 11(3). 219-224 (2000)