2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12450007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗片 比呂夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60270922)
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Keywords | スピントロニクス / 磁性体・半導体複合構造 / 光磁化 / 超常磁性 / キャリア誘起磁性 / 協同現象 / 磁性半導体 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
申請者はFe/FeAs磁性体微粒子を内包したGaAs薄膜に光を照射すると磁化率が可逆的に変化する現象「光変調磁性」を見出したがその起源は全く未解明であった。本研究は、なぜGaAs-Fe系において「光変調磁性」が発現するのかを4年間で追究し、半導体・磁性体融合(複合)系による機能性ナノ構造を世界に先駆けて呈示することを目的としている。 前年度まで蓄積した研究データに基づいて、Ga、Fe、およびAsビームを同時にGaAs(100)基板に堆積させる「混晶形成プロセス」によって100ミクロン厚の2インチ基板上に、再現性よくGaAs-Fe複合薄膜を堆積させるプロセスの研究を行なった。プロセス技術の開発はうまく行われたもの、光誘起磁化の変化率が充分に大きな試料を得ることが困難となってしまうことが判明した。この原因究明のため、仮説として導入している「ナノ磁性微粒子の相互作用に基づく光磁化モデル」の見直しをせざるを得なくなり、透過電子顕微鏡(TEM)による試料断面観察と相図とを組み合わせて考察した結果、(1)1mm以下の極微小なGa_3FeAs強磁性微粒子の相互作用に基づくモデル、および(2)準安定Fe_xAs_y反強磁性相(x、y=1-2)の光メルトに基づくモデル、の二通りのモデルに到達した。最終年度(平成15年度)は、AC帯磁率測定を駆使してこれらのモデルを実験的に検討することになる。 一方で、上記の物性研究と平行して進めた応用志向の研究においては特記すべき研究成果が得られた。すなわち、この複合素材[GaAs-Fe複合薄膜]が示す光誘起磁化率変化を応用したマイクロ機械デバイスが、室温における光照射によって期待された動作を示すことが実験的に見出され、この方面への道が開かれた。今後、磁化率変化の上限および高速性について、答えを出すことが必須であり、そのためにも、この現象の原理を明らかにすること、ならびに、ドットサイズ・ドット間距離、位置関係などの制御に関する素材研究が極めて重要となる。最終年度における進展に期待して、この課題の研究を強化する必要があると結論した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] R.Moriya, H.Munekata, T.Kondo, A.Oiwa: "Preparation of quaternary magnetic alloy semiconductor epilayers (Ga,Mn,Fe)As"Journal of Crystal Growth. 237-239. 1344-1346 (2002)
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[Publications] Y.J.Park, R.Moriya, H.Munekata, et al.: "Characteristics of molecluar beam epitaxy-grown GaFeAS"Current Applied Physics. 2. 379-384 (2002)
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[Publications] S.Yanagi, H.Munekata, Y.Kitamoto, A.Oiwa, T.Slupinski: "Interlayer coupling in (In,Mn)As/In/As/(In,Mn)As magnetic semiconductor trilayer structures"Journal of Applied Physics. 91. 7902-7905 (2002)
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[Publications] R.Moriya, H.Munekata: "Relation among concentrations of incorporated Mn atoms, ionized Mn acceptors, and holes in p-(Ga,Mn)As epilayers"Journal of Applied Physics. 93(8), April. 7 (2003)
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[Publications] T.Kondo, S.Kuwabara, H.Owa, H.Munekata: "Molecular beam epitaxy of (Ga,Mn)N"Journal of Crystal Growth. 237-239. 1353-1357 (2002)
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[Publications] 近藤 剛, 宗片 比呂夫: "(Ga,Mn)Nの結晶成長と磁性-窒素プラズマMBE-"応用物理. 71. 1272-1275 (2002)