2000 Fiscal Year Annual Research Report
ナノコンタクト形成過程の分子動力学シミュレーション
Project/Area Number |
12450048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 教授 (20169882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅野 宜崇 京都大学, 工学研究科, 助手 (40314231)
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Keywords | ナノコンタクト / 分子動力学 / 微小材料 / 引張変形 / すべり / 原子鎖 / 極細線 / 延性 |
Research Abstract |
電子デバイス等の微小構造物ではいっそうの縮小・集積化が進められており,ナノオーダーのサイズの要素に対する要求が現実に近づきつつあるとともに,その特性の評価が重要となってきている.とくに,コンタクト部分は小さなサイズが求められており,原子レベルの超微細なコンタクト作成過程および機構についての検討が必要である.本研究では,実験観察が困難なナノ微小要素の形成過程および変形過程を分子動力学法に基づく計算機実験によって明らかにすることを目的としている.アルミニウムを対象として,(1)第一原理による原子鎖(原子が一列に並んだ形状のコンタクト部)の理想引張り強度解析,(2)有効媒質法原子間ポテンシャルの引張り変形における有効性,(3)有効媒質法に基づく微小コンタクト部の引張り分子動力学解析,について検討した.(1)より,原子鎖の強度は約1nN程度であることが判明した.また,原子鎖はバルク材と比較すると高強度・低延性である.(2)においては,単結晶材料の同引張り条件下で第一原理解析と有効媒質法原子間ポテンシャルの解析を行い,両者を比較した.有効媒質法は,同一引張りひずみにおいてわずかに低応力を示す傾向があるが,引張り強度・破断ひずみとも両者はほぼ一致し,同法による評価の有効性が示された.(3)より,微小材料は近隣に表面があるため,引張り変形とともに部分転位が表面より発生し,他の表面へ貫通することによって積層欠陥が形成されることが判明した.また,回復もすみやかに生じる.引張り後期においては原子の集団的な移動によるねじれが生じて変形が進行する.
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