2001 Fiscal Year Annual Research Report
微細構造を持つ材料の高機能発現機構とトライボマテリアル設計への応用
Project/Area Number |
12450059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島田 尚一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20029317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏明 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (60330156)
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Keywords | トライボマテリアル / 機能性薄膜 / 微細構造 / 計算機シミュレーション / 分子動力学 / 第一原理計算 / セラミックス超格子 |
Research Abstract |
高荷重、高温、高真空、超清浄などの環境下での機器要素に用いられるトライボマテリアルとして、ナノスケールの微細構造を持つ新材料が開発されつつあるが、これらの材料が高い機能を発現するメカニズム、微細構造や構成原子種などの適切な選択基準はほとんど明らかにされていない。本研究は、計算機シミュレーションを利用して、微細構造を有する機能材料が高硬度、高耐摩耗性、高耐熱性、超砥摩擦などの高い機能を発現する機構を解明し、それらの成果を元に、意図する高機能トライボマテリアルの効率的な設計手法を開発することを目的としたもので、今年度の主な成果は以下の通りである。 (1)第一原理計算にもとづいて、遷移金属の窒化物セラミックスおよびそれらの超格子構造を持つ材料の分子動力学解析を行うための原子間ポテンシャルを決定する手法を確立し、TiN, AlN, ZrNのポテンシャルを決定した。 (2)微小硬度計を改良して、種々の積層周期を持つTiN/AlNおよびTiN/ZrNセラミックス超格子薄膜の微小硬度を測定し、積層周期が小さくなるほど硬度が高くなること、構成原子によっては最適周期がある可能性があることを明らかにした。 (3)TiN/AlNセラミックス超格子薄膜のモデルを作成し、分子動力学解析によって力学的特性を評価した結果、積層周期が小さくなるほど最初に破壊が始まる応力は低くなること、薄膜内の圧縮応力が残留する領域でせん断破壊が、引張応力を残留する領域で引張破壊が生じるが、破壊は界面で止められ、伝搬しないことを明らかにした。 (4)層間で生じる破壊の規模は積層周期が大きくなるほど大きくなり、致命的な破壊に至る可能性が高くなる。したがって、外部から薄膜に加わる負荷の大きさと負荷面積によって最適な積層周期があると考えられ、負荷条件を考慮した最適微細構造の設計が可能であることを示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Tanaka, S.Shimada, N.Ikawa, M.Higuchi, K.Obata: "Difference in Wear Paterns of Diamond Cutting Tool Depending on Work Materials"Proc.10th ICPE, Yokohama. 179-183 (2001)
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[Publications] 田中宏明, 島田尚一, 井川直哉: "分子動力学シミュレーションによる単結晶シリコン理想表面生成プロセスの予測"砥粒加工学会誌. 45, 4. 175-180 (2001)