2002 Fiscal Year Annual Research Report
ファンデルワールスエピタキシーを用いたC_<60>の超薄膜化とマイクロトライボロジー
Project/Area Number |
12450068
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大前 伸夫 神戸大学, 工学部, 教授 (60029345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 雅人 神戸大学, 工学部, 助教授 (10216806)
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Keywords | C_<60> / ファンデルワールス / ドメイン成長 / マイクロトライボロジー / マイクロマシン |
Research Abstract |
本研究では、C_<60>薄膜の構造とマイクロトライボロジー特性、薄膜/基板界面の構造、C_<60>の成長機構を原子スケールで解析・検討し、マイクロマシンのマイクロトライボロジーをターゲットとした独自のアプローチを試みた。マイクロマシン等を対象としたマイクロトライボロジーでは、シリコン(ポリシリコン及びウェハ)やダイヤモンドライクカーボン(DLC)あるいはLIGA膜上へのファンデルワールスエピタキシーを成功させる必要がある。前年度までの研究で研究室に現有する装置に改造を加えて、室温から200℃までの温度範囲でC_<60>薄膜の成長を試み、MoS_2基板150℃において良好なエピタキシャル成長を確認できた。本年度は水素終端処理を施したsi(111)基板を用いた擬似ファンデルワールスエピタキシーを行った。その結果この基板ではC_<60>は層状成長をとらず、柱状Islandが成長する事が確認された。本研究で用いた水素終端処理法では基板表面に3種類の水素状態が存在するため、層状物質基板の場合のような、平滑で不活性な表面を得る事が出来ない事が示唆された。さらにC_<60>薄膜のモフォロジーは、層状成長、結晶状成長にかかわらず同様の基板温度依存性を示した。いずれの場合も基板温度の上昇に伴う、ドメイン、Islandサイズの増大と密度の減少が観察された。ともに蒸着量を増やすと多結晶化してしまうが、そのメカニズムは異なったものである事が確認された。その原因は、結晶状成長では、微結晶の3次元的な合体によるアモルファス化が起こるが、ファンデルワールスエピタキシー法を用いた層状成長では、ドメインの2次元的合体による双晶の発生に起因している。結果、より結晶性の良好なC_<60>単結晶薄膜を多層かつ広範囲に作成するには、層状成長をとる基板を選択する、もしくは基板を改質し層状成長させることが必要であることが示された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 田川雅人: "低摩擦発現のための表面創成の現状と将来展望-DLC固体潤滑材の現状と原子ビームによる表面自由エネルギー制御-"平成14年度ものづくりクラスター協議会産学官連携促進事業 分野設定型研究「表面処理技術分野」第2回セミナー講演資料、大阪、2月18日. 45-52 (2003)
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[Publications] Tagawa M.: "Micro-and Macrotribological properties of solid lubricants in a simulated low earth orbit space environment"Proceedings of the 6th International Space Conference, Protection of Materials and Structures from the Space Environment, May 1-3, 2002, Toronto, Canada. (in press).
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[Publications] Ohmae N.: "Tribology in Space Station"Proceedings of Balkantrib 2002, June 12-14. 329-336 (2002)
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[Publications] Tagawa M.: "Effect of atomic oxygen exposures on the tribological properties of molybdenum disulfide lubricants"Space Technology Proceedings Volume 4, J. I. Kleiman and R. C. Tennyson Eds.. 73-84 (2001)
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[Publications] Ohmae N.: "Microstructure and tribology of ultrathin C_<60> films prepared by molecular beam epitaxy"Proceedings of International Tribology Conference, Nagasaki, Japan, October29-November2. 715-719 (2000)
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[Publications] Ohmae N.: "Tribology of mechanical systems : a guide to present and future technologies"ASME Press (in press). (2003)
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[Publications] 大前伸夫: "新版機械工学便覧"(社)日本機械学会(印刷中). (2003)
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[Publications] 大前伸夫: "(社)日本トライボロジー学会編"養賢堂. 883 (2001)