2001 Fiscal Year Annual Research Report
極低摩擦を示す超格子固体潤滑膜の創成とトライボロジー
Project/Area Number |
12450069
|
Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
三宅 正二郎 日本工業大学, 工学部, 教授 (70229813)
|
Keywords | 固体潤滑膜 / ナノ周期積層膜 / 超格子膜 / 軟質金属膜 / カーボン / 二硫化モリブデン / トライボロジー |
Research Abstract |
1.ナノ周期構造を持つ固体潤滑膜の形成とマイクロトライボロジー特性の評価: スパッタリング装置に二硫化モリブデン、二硫化タングステン、軟質金属(金・銀)など固体潤滑性を示す材料のターゲットを同時に設置し,基板回転およびシャッターの開閉により数原子〜数十原子層からなるナノ周期構造の積層膜を形成した。その形成条件を適正化し、原子間力顕微鏡を用いたナノインデンテーション試験、マイクロ摩耗試験により垂直硬さ,弾性率および水平抵抗の積層周期依存性を明らかにした。その結果,積層膜形成による機械特性改善効果を明らかにした。さらに二硫化モリブデン・二硫化タングステンの積層膜を用い大気中で摩擦係数0.04の低摩擦を実現することができた。 2.ナノ周期を持つ結晶構造の異なる積層膜からなる固体潤滑膜の形成と評価: 軟質金属(Ag/Au)nおよびカーボンからなるナノ周期積層膜を形成した。その結果として分子オーダで複数の異なったせん断パスを持つ超格子固体潤滑膜を形成した。これらの超格子固体潤滑膜は単体膜に対し、著しく摩擦特性および摩擦耐久性を改善することができた。 3.耐環境性固体潤滑膜の形成と評価: 耐環境性に優れるダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を主成分としたナノ周期積層膜を実現するためDLC膜を取り上げ、膜形成条件、摩擦特性などの基本特性を評価した。その結果DLC膜を耐熱性高分子材料に形成することにより、優れたトライボロジー特性改善効果が得られた。さらにチタン、鉄、モリブデンなどの金属を添加したDLC膜を形成し、その付着力など機械特性の改善効果を明らかにした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 木島進, 斉藤喬士, 渡部修一, 三宅正二郎: "金属添加DLC膜のトライボロジー特性"表面技術協会2001春予稿集. 247-248 (2001)
-
[Publications] 鈴木健二, 斉藤喬士, 渡部修一, 三宅正二郎: "各種金属を添加したDLC膜のスクラッチ特性"表面技術協会2001春予稿集. 249-250 (2001)
-
[Publications] 関根幸男, 三宅正二郎, 渡部修一: "RFスパタリングによる超格子固体潤滑膜の形成とトライボロジー"トライボロジー会議2001春予稿集. 361-362 (2001)
-
[Publications] 斉藤喬士, 三宅正二郎, 渡部修一, 橋爪 剛: "ダイヤモンドライクカーボン膜形成プラスチックのトライボロジー"日本機械学会2001年度年次大会,福井.講演論文集(Vol.III). 97 (2001)
-
[Publications] 関根幸男, 三宅正二郎, 渡部修一, 野城淳一: "二硫化タングステン/二硫化モリブデン積層膜のトライボロジー"トライボロジー会議2002春予稿集. (発表予定). (2002)
-
[Publications] 三宅正二郎, 斉藤喬士, 渡部修一, 林栄一, 中丸隆: "耐熱性高分子材料のトライボロジー特性に対するダイヤモンドライクカーボン(DLC)形成の効果"表面技術(表面技術協会). 52, 12. 878-882 (2001)