超はっ水性壁の流体抵抗低減化に関する研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12450078
• Research Institution: Tokyo Metropolitan University
• Principal Investigator: 渡辺 敬三 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20072134)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 水沼 博 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (20117724) ; 太田 正廣 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (80094259) ; 山内 五郎 大同工業大学, 工学部, 教授 (10312109) ; 小方 聡 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (50315751)
• Keywords: 流体工学 / 抵抗減少効果 / 滑り / 超はっ水壁面 / 回転二重円筒 / 球 / 矩形管 / 機能性壁面

Research Abstract

液体の抵抗や損失を低減させる試みは省エネルギー化と密接に関連して工業的に重要な課題である。それは流体と接する固体境界の相互作用と考えることが出来るから、抵抗減少効果を得るためには流体に着目してその流動特性を変えるか、固体境界面に着目して低減化を計る二つの方法が考えられる。従来から、前者の流体の性質を変化させる方法は液体に水溶性の高分子や界面活性剤を添加する方法や微細な固体粒子の添加混入など多くの研究がなされ、実用化が行なわれている。しかしながら、後者の壁面に着目した研究や実用化の試みは少なく、単純にその表面が滑面か粗面であるかの議論や、植毛や振動法など比較的複雑な手法がとられてきた。いま、流体を固体境界で滑らすことが可能であるならば、従来まったく試みられていない新しい抵抗減少効果を得ることが出来る。本研究はこのような固体境界の特性に注目して、流体の壁面における見掛けの滑りを生ずる超はっ水性壁に注目して液体の抵抗や損失を低減化することを目的としている。本研究の今年度における第一の研究成果は個体球に表面を超はっ水性壁にすることによりその球を完全に気膜に覆うことが可能となり、固体-気体-液体の界面が共存する流れ場を作成することが出来たことである。この超はっ水性球の挙動は液体中で浮遊し、抵抗が低減するなどの現象を生じ、今後界面張力の算定や気液界面における液体の滑り機構の解明に資する流れ場として研究対象となることを実験的に明らかにしている。第二の研究成果としては、超はっ水性壁面の創成が挙げられる。微細な溝を表面に付しそのフラクタル構造からはっ水性を高めることを可能にし、矩形管内の水の損失を測定した。さらに、それらの表面にPTFEを処理して接触角が140°のはっ水性壁を作成し、機能性壁面の創成法を得た。
今後の研究課題としては見かけの滑り速度の発生機構の解明とそのモデル化に対する気液界面の数値シミュレーションが挙げられる。

Research Products

• [Publications] 渡辺 敬三: "非ニュートン流体の流れの可視化"可視化情報学会誌. Vol.22,No.87. 3-8 (2002)
• [Publications] Keizo WATANABE, Tsukasa TAKAYAMA, Satoshi OGATA: "Formation Process of Taylor Cells"International Journal of Visualization. Vol.5,No.3. 209-217 (2002)
• [Publications] Keizo WATANABE, Tsukasa TAKAYAMA, Satoshi OGATA: "Formation Process of Taylor Cells of a Surfactant Solution"Proc.'02 ASME IMEC&E Sym.on Rheology and Fluid Mechanics of Nonlinear Materials, New Orleans. FED-259. 1-6 (2002)
• [Publications] Keizo WATANABE, Tsukasa TAKAYAMA, Satoshi OGATA: "Taylor-Couette Instability of a Surfactant Solution"Proc.of 12th European Drag Reduction Meeting, Herning, Denmark. 1-2 (2002)
• [Publications] Yanuar, Keizo WATANABE: "Drag Reduction of Gur Gum Solutions in Crude Oil"Progress in Transport Phenomena (The 13th International Symposium on Transport Phenomena, Victoria, Canada). 833-836 (2002)
• [Publications] 渡辺敬三, 藤田貴男, 小方 聡: "超はっ水壁球による気液界面の創成とその挙動"日本機械学会2002年年次大会講演論文集. No.02-1,VII. 57-58 (2002)
• [Publications] 藤田貴男, 渡辺敬三: "疎水性表面の新しい利用方法の紹介"第2回八王子産学公連携機構 研究成果等発表講演会要旨集. 36-37 (2002)
• [Publications] 藤田貴男, 渡辺敬三: "超はっ水壁球の流動特性に関する研究"第52回理論応用力学講演会論文集. 1-2 (2003)
• [Publications] 藤田貴男, 渡辺敬三, 木村彰宏: "超はっ水壁球のニュートン流体中の抵抗について"日本機械学会関西支部 第78回定時総会講演会講演論文集. 1-2 (2003)
• [Publications] 渡辺敬三, Budiarso, 小方 聡, 上村圭吾: "表面に流跡溝を有する回転円板の摩擦抵抗低減"第49回ターボ機械協会総会講演会講演論文集. 31-36 (2002)
• [Publications] Hiroshi MIZUNUMA, Hideyuki TAKAGI: "Cyclic Generation of Wall Slip at The Exit of Plane Couette Flow"Journal of Rheology. Vol.47,No.2. 1-21 (2002)
• [Publications] Hiroshi MIZUNUMA, Hisashi SUGIYAMA: "Vortex Inhibition Effect in Drag Reducing Fluids"Pro.of 12th European Drag Reduction Meeting. 1-2 (2002)
• [Publications] Takehiko SEGAWA, Hiroyuki ABE, Hiro YOSHIDA, Hiroshi MIZUNUMA: "Measurement of Turbulent Skin Frictional Drag Using A Fiber Bragg Grating System"Pro.of 41st Aerospace Sciences Meeting & Exhibit. AIAA 0646(CD-ROM). (2003)
• [Publications] Satoshi OGATA, Keizo WATANABE: "Limiting Maximum Drag Reduction Asymptote for A Moment Coefficient of A Rotating Disk in Drag-Reducing Surfactant Solution"J.Fluid Mechanics. Vol.457. 325-337 (2002)
• [Publications] 小方 聡: "回転円板の抵抗減少効果とその応用"ターボ機械. Vol.30,No.12. 709-714 (2002)
• [Publications] 小方 聡, 渡辺敬三, 小佐野芳寿: "界面活性剤水溶液中の円柱の抗力特性に関する研究"日本機械学会2002年度年次大会講演論文集. No.02-1,VII. 51-52 (2002)
• [Publications] 小方 聡, 木村麻乃, 渡辺敬三: "界面活性剤水溶液のポンプ性能に関する研究"第49回ターボ機械協会総会講演会講演論文集. 25-30 (2002)