2001 Fiscal Year Annual Research Report
微小ヒーターによる非定常高速マランゴニー熱流動に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12450084
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
飯田 嘉宏 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (90005299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 邦人 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60204153)
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Keywords | マランゴニ効果 / 液膜変形 / 微小ヒータ / 非定常熱流動 |
Research Abstract |
固体面上の液膜を、面に設けた微小なヒータにより背面からパルス状に加熱すると、マランゴニ効果により急速に流動が開始し、液膜が大きく変形する。この現象は学問的にも興味深いだけでなく、マイクロアクチュエータの新しい駆動原理となる可能性をもつなどの特徴を有している。本研究は、このような非定常マランゴニ現象の基本的な挙動を明らかにすることを目的として行った。本年度は、縦横比が1:40と大きい白金蒸着薄膜ヒータを用い、昨年度と同じ油状の高沸点液をパルス加熱して、ヒータ温度変化を計測しつつ、液膜の二次元形の実現と流動による非定常変形・回復挙動に与える側壁の影響を中心に実験的に調べた。液膜の変形挙動を測定するために昨年度設備備品費で購入したレーザフォーカス変位計を使用した。本年度の研究成果は以下の通りである。 1.石英ガラス面上に、高沸点液体(セバシン酸ジブチル)の厚さ最大300ミクロン程度の薄膜を形成し、同ガラス面に蒸着した大きさ1mmx40mmの白金薄膜ヒータをパルス加熱した際の液膜の変形挙動について、油膜を保持するためにガラス面の縁に設けた側壁までの距離を種々変化させその影響を調べた。側壁材料に濡れ性の低いテフロンを用いた結果から、ヒータから幅方向に片側約50.100mm離れた位置に側壁を設けた場合には、ヒータ上の液膜変形挙動には側壁の影響はほとんどみられず、ヒータ幅方向に二次元的な液膜変形が実現されることを確認した。 2.側壁材料をシリコンゴムに交換したところ、液膜の変形挙動に大きな変化が見られた。すなわち、テフロンを用いた場合と同程度の液膜厚さ変化を起こすには約5倍のパルス発熱量が必要となり、また液膜変形速度も大幅に増加した。検討により、この変化はシリコンゴムから何らかの成分が急速に溶け出し、液膜表面を覆うため、表面張力及びその温度依存性が大きく変化したためと推察されたが、いったん表面が同溶出成分で汚染されると変形挙動には高い再現性があることも判明した。
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