規制緩和後の電力系統における分権型電力供給システムに関する研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12450106
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 長谷川 淳 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40001797)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 田中 英一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10124538) ; 北 裕幸 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30214779)
• Keywords: 規制緩和 / 信頼度 / FRIENDS / 分散電源 / 電力貯蔵装置 / 多品質電力供給 / 競争環境 / 電力系統

Research Abstract

本研究では,規制緩和後における電力システムの信頼度低下に対し,経済性を損なわずに適切に対処することが可能な,分権型電力供給システムを提案し,技術的および経済的な観点からその実現可能性を明確にすることを目的としている。本年度は,まず,分権型電力供給システムを上位系統と下位系統とに分け,それぞれの信頼度を計算するための基本アルゴリズムを開発した。得られた知見をまとめると以下のようになる。
1.サービス価値基準の概念を用いて,上位系統におけるグローバル信頼度および各地域のローカル信頼度を評価する手法を開発した。その結果,分権型電力供給システム導入後の社会コスト最小値が,現状システムの社会コスト最小値と等しくなるという条件で評価した場合,上位系統の信頼度を現状よりも低下させることができることを明らかにした。その際,電力改質センター(QCC)内で,上位系統の信頼度とは異なるローカル信頼度(高品質信頼度,標準品質信頼度)の電力を生成し供給することによって,各地域の社会コストを最小にすることが可能となり,これが全体の社会コストの低減に大きく寄与することが明らかとなった。
2.QCC内の設備として分散型電力貯蔵装置を考慮すると,上位系統における負荷率改善効果が期待できるが,現時点の貯蔵装置のコストでは,導入量が増加するとかえって社会コストが悪化するという結果となった。
3.下位系統における料金・信頼度を公正に決定するための一手法として,需要家の電気料金と電力需要との関係をも考慮した計算アルゴリズムを提案した。需要家のニーズを満足させるためには,優先的負荷遮断だけではなく分散電源を導入することが必要であり,それにより需要家が支払う電気料金にも電力品質別に差がつく結果となった。

Research Products

• [Publications] 上野芙美子: "規制緩和後の電力系統における分権型電力供給システムに関する研究"電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会資料. PE-00-150/PSE-00-155. 75-80 (2000)
• [Publications] 上野芙美子: "FRIENDSの導入を考慮した地域構成決定に関する基礎検討"平成12年電気学会電力・エネルギー部門大会講演論文集(論文II). 分册A. 778-779 (2000)
• [Publications] 上野芙美子: "規制緩和後の電力系統における分権型電力供給システムに関する研究-分散型電力貯蔵装置を考慮した検討-"平成12年度電気関係学会北海道支部連合大会講演論文集. 94-95 (2000)
• [Publications] 上野芙美子: "規制緩和後の電力系統における分権型電力供給システムに関する研究-上位系統を考慮した検討-"平成12年電気学会全国大会講演論文集. (発表予定). (2001)