光ファイバ型光学素子開発を目指したシリカ系ガラスにおける屈析率増大機構の解明

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12450132
• Research Institution: Waseda University
• Principal Investigator: 大木 義路 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70103611)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 加藤 宙光 日本学術振興会, 特別研究員 ; 宗田 孝之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90171371) ; 濱 義昌 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (40063680)
• Keywords: シリカガラス / 光導波素子 / 光ファイバ / 光集積回路 / 光学素子 / イオンビーム / 光導波路 / 回折格子

Research Abstract

光波長多重通信網においては、光の分波機能を持つ光導波素子が必要となる。我々は光ファイバおよび平面光導波路に高エネルギーイオンを注入し、周期的に異なる屈折率を有する格子構造を形成することに成功している。このことを利用すれば、種類を問わずシリカ系光ファイバに分波素子が作製できるはずである。そこで、本研究では、微細な領域にイオンを注入した場合にシリカに誘起される構造変化を明らかにし、さらに、分波素子である回折格子を作製することを目的とした。
1.イオンマイクロビーム照射によるシリカガラスの高密度化と屈折率変化:Hイオンマイクロビーム照射によるシリカガラスの形状および屈折率の変化を原子間力顕微鏡、顕微ラマン分光装置および二光束干渉顕微鏡を用いて調べた。イオンマイクロビーム照射されたシリカガラスの表面および側面ともにイオン注入により凹みが観測され、その主たる原因は高密度化であるということを明らかにした。また、イオン注入誘起屈折率変化は飛程付近で最大となり、回折格子作製に十分な値である0.0059まで達することが分かった。
2.イオン注入マスクを用いた光通信用素子作成技術:イオン注入マスクとして、電子線リソグラフィーにより、シリコン窒化膜メンブレン上にレジストと金から構成される周期2.65マイクロメートルのLine/Spaceパターンを作製した。作製したマスクを用いてイオン注入をシリカガラスに行ったのち、HFでエッチングを行い、飛程の差に起因する凹凸の回折格子を形成した。フラウンホーファー回折による+1次光および-1次光の観察により、回折格子の周期は2.6マイクロメートルであると計算された。この値はイオン注入マスクのLine/Spaceの周期と一致し、イオン注入マスクパターン転写の成功が裏付けられた。

Research Products

• [Publications] Hiromitsu Kato, Yoshimihi Ohki et al.: "Band-tail photoluminescence in hydrogenated amorphous silicon oxynitride and silicon nitride films"J.Appl.Phys. Vol.93, No.1. 239-244 (2003)
• [Publications] Hiromitsu Kato, Yoshimihi Ohki et al.: "Plasma-enhanced chemical vapor deposition and characterization of high-permittivity hafnium and zirconium silicate films"J.Appl.Phys.. Vol.92, No.3. 1106-1111 (2002)
• [Publications] Hiromitsu Kato, Yoshimihi Ohki et al.: "Photo-induced refractive index change in hydrogenated amorphous silicon oxynitride"J.Appl.Phys.. Vol.91, No.10. 6350-6535 (2002)
• [Publications] T.Yamaguchi, Y.Ohki et al.: "Evaluation of silica glasses implanted by high-energy ions using a uv-excited microscopy"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. 191. 371-374 (2002)
• [Publications] Hiroyuki Nishikawa, Yoshimichi Ohki et al.: "Radiation effects and surface deformation of silica by ion microbeam"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. 191. 342-345 (2002)
• [Publications] Masaharu Hattori, Yoshimichi Ohki et al.: "Characterization of ion-implanted silica glass by vacuum ultraviolet absorption spectroscopy"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. 191. 362-365 (2002)
• [Publications] Hiroyuki Nishikawa, Yoshimichi Ohki et al.: "Evaluation of Three Dimensional Microstructures on Silica Glass Fabricated by Ion Microbeam"TIARA Annual Report 2001. 240-242 (2002)
• [Publications] Makoto Fujimaki, Yoshimichi Ohki et al.: "Fabrication of microstructures in rutile Ti02 single crystal using structural change induced by swift heavy ion bombardment"University of Tsukuba Tandem Accelerator Center (UTTAC) Annual Report. 3-4 (2002)
• [Publications] Masaharu Hattori, Yoshimichi Ohki et al.: "Characterization of Refractive Index Changes of Silica Glass Induced by Ion Microbeam"8th International Conference on Nuclear Microprobe Technology & Application. 57 (2002)
• [Publications] T.Souno, Y.Ohki et al.: "Characterization of Ion-implanted Silica Glass by Micro-photoluminescence and Raman Spectroscopy"8th International Conference on Nuclear Microprobe Technology & Application. 101 (2002)
• [Publications] K.Awazu, Y.Ohki et al.: "Fabrication of nano/micro structures in Si02 and Ti02 by swift ions"Microprocesses and nanotechnology 2002. 68-69 (2002)
• [Publications] 粟津浩一, 大木義路 他: "重イオンビームを用いたセラミックスの3次元ナノ精度加工"第50回応用物理学関係連合講演会シンポジウム. (発表予定). (2003)
• [Publications] 野村健一, 大木義路他: "高速重イオンビーム照射時のルチル型Ti02単結晶表面エッチングの閾値"第50回応用物理学関係連合講演会. (発表予定). (2003)
• [Publications] 崔明秀, 大木義路 他: "Deep X-ray Lithographyと液相析出法を用いたサブmmの蜂の巣構造をもつアナターゼ型Ti02の作製"第50回応用物理学関係連合講演会. (発表予定). (2003)
• [Publications] 柳崇, 大木義路 他: "Ge添加Si02薄膜中の紫外光誘起Ge E'中心の熱緩和"第50回応用物理学関係連合講演会. (発表予定). (2003)
• [Publications] 服部雅晴, 大木義路 他: "イオンマイクロビーム照射によるシリカガラスの屈折率変化分布"第50回応用物理学関係連合講演会. (発表予定). (2003)
• [Publications] 深川一成, 大木義路 他: "シリカガラスへの重イオンマイクロビーム照射効果"第50回応用物理学関係連合講演会. (発表予定). (2003)
• [Publications] 加藤宙光, 大木義路 他: "ハフニウムシリケートの価電子帯スペクトルのXPS解析"第50回応用物理学関係連合講演会. (発表予定). (2003)
• [Publications] 伊藤俊秀, 大木義路 他: "ハフニアおよびハフニウムシリケートのSR光誘起フォトルミネセンス"第50回応用物理学関係連合講演会. (発表予定). (2003)
• [Publications] 伊藤俊秀, 大木義路 他: "フォトルミネセンス法によるハフニウムシリケート高誘電率ゲート絶縁膜の評価"第34回電気・電子絶縁材料システムシンポジウム. 97-100 (2002)
• [Publications] 惣野崇, 大木義路 他: "イオンマイクロビームによるシリカガラスへの照射効果"第34回電気・電子絶縁材料システムシンポジウム. 89-92 (2002)
• [Publications] 加藤宙光, 大木義路 他: "PECVD法およびPLD法により成膜したHf02膜のフォトルミネッセンス解析"第63回応用物理学会学術講演会. 2巻. 725 (2002)
• [Publications] 南向智広, 大木義路 他: "ハフニウムおよびジルコニウムシリケート膜における電気特性に与える熱処理の効果"第63回応用物理学会学術講演会. 2巻. 729 (2002)
• [Publications] 加藤宙光, 大木義路 他: "バンド端発光における非輻射再結合中心の検証-a-SiOxNy:H膜とa-SiNz:H膜の比較-"第63回応用物理学会学術講演会. 2巻. 820 (2002)
• [Publications] 惣野崇, 大木義路 他: "イオンマイクロビーム照射したシリカガラスの顕微分光計測による評価"第63回応用物理学会学術講演会. 2巻. 648 (2002)
• [Publications] 惣野崇, 大木義路 他: "イオンマイクロビーム照射したシリカガラスの欠陥分布と屈折率変化(II)"第63回応用物理学会学術講演会. 2巻. 817 (2002)
• [Publications] 服部雅晴, 大木義路 他: "イオンマイクロビーム照射によるシリカガラスの高密度化分布"第63回応用物理学会学術講演会. 2巻. 818 (2002)
• [Publications] 野村健一, 大木義路 他: "高速重イオンビーム照射およびエッチングによるルチル型Ti02単結晶表面および内部への微細構造の作製"第63回応用物理学会学術講演会. 2巻. 642 (2002)
• [Publications] 服部雅晴, 大木義路 他: "マイクロイオンビームによるシリカガラスへの微細3次元構造形成と評価"第11回TIARA研究発表会. 101-102 (2002)