2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子記憶素子としてのナノ界面分子膜上での液晶ダイナミクス機構とその制御
Project/Area Number |
12450133
|
Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
杉村 明彦 大阪産業大学, 工学部, 教授 (90145813)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 裕義 大阪府立大学, 工学部, 教授 (90172254)
松本 恵治 大阪産業大学, 工学部, 助教授 (40229547)
|
Keywords | 液晶 / 重水素化核磁気共鳴法 / アンカリングエネルギ / ダイレクタ分布 / 連続体理論 / ダイレクタの動的挙動 / 液晶分子の動的挙動 / 界面現象 |
Research Abstract |
本課題は、研究申請者らにより報告された液晶ダイレクタの一般化理論に基づき、超薄膜界面での液晶分子のダイナミクスを明らかにするだけでなく、超薄膜界面での液晶ダイレクタの表面アンカリング効果を明確にすることを目的に研究を進めている。実験的には、液晶セル基板上でのアンカリング効果に基づくバルク内ダイレクタ歪分布を、新たに提案した電界重複印加重水素化核磁気共鳴法を用いて明らかにする。理論的には、界面での液晶ダイレクタ表面変位を考慮した、より一般化されたトルクバランス方程式から導かれるダイレクタ分布を数値解析することによりダイレクタ歪分布を調べる。核磁気共鳴法スペクトルと計算機シミュレーションとを相互検証することにより、下記の項目を明らかにした。 1.セル基板界面アンカリング強度は、セル膜厚の増加とともに減少する。 2.磁場・電場相互直交系でのダイレクタ歪分布は、電場のみの系で報告されているbowler-hat形状から、top-hat形状へ変化する。この歪分布形状の変化は、基板界面でのアンカリング条件により決定されることを、理論的・実験的に明らかにした。 3.液晶薄膜セル内でのダイレクタ分布の動的挙動(電場方向から磁場方向への90回転)において、ダイレクタ回転の摂動により、back flowが生じることを明らかにし、動的緩和過程におけるmulti-domainの存在を実験的に明らかにした。 4.液晶分子の動的挙動を、分子の骨格基と柔軟基に分離して測定し、シアノビフェニール系液晶(5CB)では、電場応答の時間領域(数百マイクロ秒-数十ミリ秒)において、分子の各部位の回転に変化がないことを実験的に明らかにした。
|
-
[Publications] A.Sugimura,,G.R.Luckhurst,T.Miyamoto,B.A.Timimi: "Electric field-induced alignment of the directors in the smectic A phase of 4-octyl-4'-cyanobiphenyl : A Deuterium NMR study"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 347. 147-156 (2000)
-
[Publications] A.Sugimura,,G.R.Luckhurst,B.A.Timimi: "A deuterium nuclear magnetic resonance investigation of the director distribution in a thin nematic liquid crystal slab"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 347. 53-63 (2000)
-
[Publications] A.Sugimura,,G.R.Luckhurst,T.Miyamoto,B.A.Timimi,C.J.Dunn: "A Deuterium Nuclear Magnetic Resonance Investigation of Field Induced Director Dynamics In a Nematic Slab......"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 347. 167-178 (2000)
-
[Publications] A.Sugimura,K.Hattori,S.Ishihara: "C-V Hysteresis Observed in a Splay-Bend Transition : a Novel Method for the Evaluation of a Transition Speed"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 347. 81-94 (2000)
-
[Publications] 杉村明彦,石原將市,辻誠,服部勝治: "表面アンカリングエネルギーの液晶/配向膜分子構造依存性"電子情報通信学会論文誌. J83-C No.2. 151-159 (2000)
-
[Publications] A.Sugimura et al.: "Physical Properties of Liquid Crystals : Nematics"The Institution of Electrical Engineers (United Kingdom). 671 (2000)
-
[Publications] 杉村明彦 他: "電気工学ハンドブック"電気学会. (2000)