2001 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ放射をプローブとした10フェムト秒領域におけるキャリアダイナミクスの研究
Project/Area Number |
12450140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
島田 洋蔵 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10292749)
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Keywords | テラヘルツ電磁波 / フェムト秒レーザー / フェムト秒分光 / 超格子 / ブロッホ振動 / 非平衡伝導 / トンネル効果 |
Research Abstract |
サブピコ秒の時間スケールで高速に運動する電子は、その速度の微分に比例する電磁波を放出し、その周波数はテラヘルツ(THz)領域にある。そこで、フェムト秒レーザパルスを用いた時間分解THz分光法により,半導体中の電子の超高速運動が放出するTHz電磁波を実時間領域で検出することにより,電子のダイナミックな伝導現象を解明することが本研究の目的である。本年度の主な成果は、以下の通りである。 1.電気光学結晶を用いた広帯域THz電磁波検出系を用いて、半導体空乏層を伝導するキャリアが放出するTHz電磁波を検出することにより、キャリアの過渡速度を実験的に決定するとともに、モンテカルロ計算との比較を行った。特に、(1)THzデータの解釈において、空乏層中の走行キャリア数が時間とともに減少する効果を考慮する必要があること、(2)10kV/cm以上の電界では正孔の伝導の寄与が無視できないこと、(3)短チャネル構造では、THzデータより電子と正孔の走行時間を分離して決定できること、等が明らかになった。 2.半導体超格子中のミニバンドを伝導する電子が放出するテラヘルツ電磁波を実時間領域で検出することにより、超格子中のダイナミクス、およびブロッホ振動を用いたテラヘルツ電磁波の発生・増幅・検出の可能性について探索を行っている。特に、(1)THz電磁波の照射強度のバイアス依存性から、散乱を介したミニバンド伝導領域、ブロッホ振動を伴うワンニアーシュタルク量子化領域、上位のミニバンドへのジーナーブレークダウン領域伝導へとクロスオーバーしていく様子を明瞭に観測できた。(2)超格子中の電子の伝導度理論と放射されたTHz電磁波スペクトルを比較することにより、適度に散乱がある現実の超格子がTHz領域において利得を持っている可能性が高いことを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Shimada, T.Matsuo, K.Hirakawa: "Thz Emission due to Miniband Transport in GaAs/AlGaAs Superlattices"Japanese Journal of Applied Physics. vol.40, No.4B. 3009-3010 (2001)
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[Publications] N.Sekine, K.Hirakawa, M.Vosseburger, P.Haring Bolivar, et al.: "Crossover from coherent to incoherent excitation of two-dimensional plasmons in GaAs/AlxGal-xAs single quantum wells by femtosecond laser pulses"Physical Review B(Rapid Communicatios). vol.64, No.20. 201323-201326(R)
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[Publications] K.Hirakawa, K.Yamanaka, Y.Kawaguchi, M.Endo, et al.: "Far-infrared photoresponse of the magnetoresistance of the two-dimensional electron systems in the integer quantized Hall regime"Physical Review B. vol.63, No.8. 85320-85324 (2001)
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[Publications] Y.Kawaguchi, K.Hirakawa, M.Saeki, K.Yamanaka, S.Komiyama: "Performance of high-sensitivity quantum Hall far infrared photodetectors"Applied Physics Letters. vol.80, No.1. 136-138 (2002)
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[Publications] K.Hirakawa, A.Oiwa, H.Munekata: "Infrared optical conductivity of In_<1-x>Mn_xAs"Physica E. vol.10. 215-218 (2001)
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[Publications] Y.Kawano, S.Komiyama, K.Hirakawa: "Suppression of electron hole pair recombination in edge states in quantum Hall regimes"Physica B. vol.298, No.1-4. 33-37 (2001)