2001 Fiscal Year Annual Research Report
大規模センサアレイによるカクテルパーティ効果システム
Project/Area Number |
12450164
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
高橋 弘太 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (10188005)
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Keywords | アレイ信号処理 / ディジタル信号処理 / カクテルパーティ効果 / 視聴覚融合 |
Research Abstract |
本来は心理学の概念であったカクテルパーティー効果を,工学の分野にもちこみ,生体の機能に近いセンシングシステムを実現することが本研究の最終的な目標である.この目標をめざして,本課題では,「視覚と聴覚の空間座標上での統合に適した分散型視聴覚融合デバイスによるシステム」という手法を提案し,その有効性を,ディジタル信号処理系を実際に試作することで実証する.本年度は,以下の成果を得た. 第一の成果は,大量のセンサ情報をリアルタイムで処理するためのDSPボードを新たに設計・製作したことである.昨年度までは浮動小数点型のDSPを用いていたが,センサ情報処理のほとんどは固定小数点演算で十分であり,むしろ処理速度が早く,演算の途中結果を多ビットで蓄えられることのほうが重要であることがわかった.このため,固定小数点型のDSPを用い,センサ情報の並列演算用に特化したDSPボードを試作した. 第二の成果は,上記のDSPボード間の通信方式を決定し,その方式にあった専用FPGAを設計したことである.センサ情報の並列処理にあたって,最も問題となるのはプロセッサ間通信である。センサ情報に対する処理能力は,プロセッサ数を増やせば増強できるが,実際には,プロセッサ数を増やしていくと,通信が破綻をきたしてあるところで処理能力が飽和してしまう.そこで,本年度は,大規模センサアレイの処理に適したプロセッサ間通信モジュールを設計し,これをFPGA上で実現した.現在,3個のモジュールを試験的に製作し,本研究の使用に耐えうるかを試験している. 最終年度では,すでに製作している大規模マイクロホンアレイとビデオカメラに,本年度の成果であるDSPボードを結合し,システム全体を完成させ,性能評価を行う予定である.
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