2000 Fiscal Year Annual Research Report
染色体DNAの走査プローブ顕微鏡試料の調製および遺伝子マッピングへの応用
Project/Area Number |
12450165
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
水野 彰 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (20144199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 和則 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (60303707)
松澤 有希子 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (10273335)
桂 進司 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (10260598)
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Keywords | 染色体 / DNA / マッピング / 伸長固定 / 走査プローブ顕微鏡 / 遺伝子 |
Research Abstract |
近年のゲノム科学の進展に伴い、ヒト各個人の遺伝子の相違を解析することが重要になっている。その手法として、核から遺伝子を損傷なく抽出し、既知の配列が遺伝子のどの位置にあるかを迅速に測定することで詳細に調べたい配列部分を同定し、その部分を切り出し、増幅して塩基配列を決定する手法が考えられる。この手法を具体化するために、本研究の初年度の目標としてはDNA一分子を取り扱う操作技術を開発することに取り組んできた。 DNAを含む溶液にポリエチレングリコールと低分子カチオンを添加すると、線状からグロビュールと呼ぶコンパクトな形態に可逆的に相転移を起こす。この状態で微小操作した後に、脱凝縮を引き起こすことにより、DNAを末端から伸長することが可能であることを本グループでは既に明らかにしていた。しかし、DNAの微小操作を行うための高周波電圧印加により生じる電気分解の結果、操作用電界印加用の針電極が腐食されることが当技術の再現性を悪くしていた。そこで、低いカチオン濃度でグロビュール相転移を誘導できるエタノールを凝縮誘導剤に用いた結果、再現性が改善された。また、実際にDNA分子を走査プローブ顕微鏡で観察するためには、そのための試料を調製する必要がある。その手法として、マイカ基板上でDNAを含む溶液を凍結させることにより、凍結に伴う流れによりDNAが伸長されることを確認した。さらに、この凍結溶液を真空中で昇華させて調製した試料を原子力間顕微鏡で観察した結果、伸長されたDNA分子が観察された。これらの手法を組み合わせることにより走査プローブ顕微鏡により長いDNA分子の各部の特徴を抽出することが可能になると期待される。
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[Publications] 佐藤知也,松浦俊一,平野研,松澤有希子,桂進司,水野彰: "微小針電極を用いたグロビュールDNAの伸長・固定技術の開発"静電気学会講演論文集'00. 105-106 (2000)