2000 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼で蓄積する難分解性溶存有機物の動態とトリハロメタン生成能の評価
Project/Area Number |
12450215
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
今井 章雄 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (40203286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松重 一夫 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (40229464)
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Keywords | 溶存有機物 / 難分解性有機物 / 湖水 / トリハロナタン生成能 / フミン物質 / 親水性有機物 / 河川水 / 分子量 |
Research Abstract |
長期間生分解試験の実験条件を確立した。湖水,河川水および溶存有機物(DOM)発生源水中のDOMの溶存有機炭素(DOC)濃度はほとんど全てのケースで約60日間の20℃,暗所,約60rpm振とうで安定化した。サンプルをより確実に難分解性化するために,100日間の生分解試験後に残存するものを難分解性DOMと定義した。 霞ヶ浦湖水(5地点),DOM発生源水(流入河川水,下水初沈水,下水処理水,生活雑排水,し尿処理水,田面流入水・流出水,森林渓流水,藻類培養後ろ液(藍藻,緑藻,珪藻)やヨシ・ガマの繁茂する池の水をDOM分画手法(生分解試験+フミン物質の分離に基づく樹脂分画)に供し,サンプルDOMをフミン物質,疎水性中性物質,親水性酸,塩基,親水性中性物質の5つに分画した。引き続いて,ろ過サンプル(DOM)フミン物質(AHS),親水性画分(HiF:親水性酸+塩基+親水性中性物質)のトリハロメタン生成能(THMFP)をヘッドスペースGC/MSで測定した。実際の存在濃度を考慮するために測定値に溶存有機物濃度を乗じたμmoleTHM・L^<-1>としてTHMFPを評価した。 河川水ではAHSとHiFのTHMFPはほぼ等しいかったが,湖水ではHiFのTHMFPがAHSの約2倍の値を示した。以上の結果より,河川水では既報のようにAHSも代表的なTHM前駆物質と言えるが,湖水ではHiFがAHSよりも重要なTHM前駆物質であると結論される。下水処理場関係サンプルについても興味深い結果が得られた。下水初沈水(沈殿処理後の下水)と処理水のTHMFPを比較したところ,下水処理水のほうが下水初沈水よりもTHMFPが高い結果となった(初沈水:0.45μmole・L^<-1>,STPE:0.68μmole・L^<-1>)。すわなち,下水処理場は下水を処理することでトリハロメタンに関するリスクを増大させていると言える。
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