Research Abstract |
霞ケ浦湖水(5地点),DOM発生源水(流入河川水,下水初沈水,下水処理水,生活雑排水,し尿処理水,田面流入水・流出水,森林渓流水,藻類培養後ろ液(藍藻,緑藻,珪藻)やヨシ・ガマの繁茂する池の水をDOM分画手法(生分解試験+フミン物質の分離に基づく樹脂分画)に供し,サンプルDOMをフミン物質,疎水性中性物質,親水性酸,塩基,親水性中性物質の5つに分画した。引き続いて,ろ過サンプル(DOM),フミン物質(AHS),親水性画分(HiF:親水性酸+塩基+親水性中性物質)のトリハロメタン生成能(THMFP)をヘッドスペースGC/MSで測定した。 単位溶存有機炭素(DOC)あたりのTHMFPとして,HiFはAHSと匹敵するTHMFPを示した(HiF : 0.176μmol THM mg C^<-1>, AHS : 0.195μmol THM mg C^<-1>)。しかしながら,湖水中に存在する濃度を考慮した場合には,HiFのTHMFPはAHSのそれよりもはるかに高い値を示した(HiF : 0.374μmole L^<-1>, AHS : 0.229μmol mg C^<-1>)。湖水中のトリハロメタン前駆物質としては,HiFのほうがAHSよりも重要であることが明示された。 サイズ排除クロマトグラフィにより,湖水中のDOM, AHSおよびHiFの分子量分布を測定した。湖水DOM, AHSおよびHiFは全て分子量分布の狭い,比較的低分子の有機物の集合体であることが示唆された。DOM, AHS, HiFの平均分子量は各々780, 960, 610g mol^<-1>であった。疎水性有機酸であるフミン物質は親水性DOMよりも高い分子量を持つことがわかった。
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