2001 Fiscal Year Annual Research Report
風外乱シミュレータを用いた複雑地形まわりのガスト時空間構造のLES解析
Project/Area Number |
12450222
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 哲郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90251660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 曙陽 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (00334532)
坪倉 誠 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (40313366)
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Keywords | 風外乱 / 複雑地形 / シミュレーション / LES / SGS乱流モデル / ガスト / 時空間構造 / 接地大気 |
Research Abstract |
わが国のように欧米の大陸に比べて国土の地形が険しく複雑であると、場所によっては風の流れが歪められて予想外に高い風速にするので構造物の被害を招くことが度々ある。そのため、構造物の耐風設計には地形性強風の評価が重要課題であり、予め想定された比較的単純な地形に対してだけでも、強風への影響評価が行われてきた。しかしながら、実在する地形ははるかに複雑であり、その影響評価は一つひとつ対応するのが本来の方法であろう。したがって数値モデルによる予測は、実験模型を一つひとつ再現する実験的手法の手間を考えるとその実現に向けて有効な手法と判断される。ただし建築物の安全性の確保のためには風速の瞬間的なピーク値(ガスト)を予測するものでなければならない。複雑地形に対する乱流数理モデルとしてLES非定常計算を実現し、接地大気のガストの時間的ならびに空間的構造を解明することをめざした。以下に本年度得られて成果を示す。 1.都市域での地表境界条件のモデル化 都市の構成要素である建築物の種類によっては地表被覆状態が変化する。特に建築物の高さに関しては、地表のラフネス効果が異なり、また対象とする都市によっては地形の起伏の影響も受ける。こういった都市域での地表境界条件のモデル化を行った。 2.地形の影響を受けた接地大気のガスト構造の解明 乱流状態となっている大気境界層が複雑地形上を吹走する時、乱流構造が影響を受けて特にガスト構造が変化する。実際の地形を類型化し、その周辺の流れ特性を風洞実験により検討すると共に、前年度開発された風外乱シミュレータによって生成された種々の乱流流入条件に基づきシミュレーションを実施し、両者の結果を比較しながらガスト構造を明らかにした。 3.複雑地形上の建築構造物への風作用評価と耐風設計資料の提示 複雑地形を対象に上記の数理モデルによるシミュレーションを実施した。特に地表の粗滑の影響に着目しながら成果をまとめ、建築物に与える地形の影響に関する耐風設計資料を提示した。
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[Publications] 田村 哲郎: "ラフネス上に空間発達する乱流境界層のLESと変動風の評価"日本建築学会構造系論文集. 第544号. 87-94 (2001)
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[Publications] 田村 哲郎: "円柱後流解析に基づく一般座標系補完法の適用性の検討〜複雑形状まわりの乱流場の高精度数値解析に関する研究〜"日本建築学会構造系論文集. 第545号. 27-34 (2001)
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[Publications] 田村 哲郎: "正方形平面建物の風応答・風圧特性に対する風向の非定常性の影響〜実測と風洞実験結果との比較に基づく一考察〜"日本建築学会構造系論文集. 第550号. 23-30 (2001)
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[Publications] 田村 哲郎: "一般座標系LESの一様乱流中における二次元角柱まわりの流れへの適用性"日本建築学会論文集. 第551号. 21-28 (2002)
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[Publications] Makoto Tsubokura: "Proper representation of the subgrid-scale eddy viscosity for the dynamic procedure in large eddy simulation using finite difference method"Physics of Fluide. Vol.13, No.2. 500-504 (2001)
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[Publications] 坪倉 誠: "差分法ダイナミックモデルに適したSGS乱流モデルの構築(第2報、SGSスカラー流束のモデル化)"日本機械学会論文集(B編). 第67巻664号. 164-172 (2001)