2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者などの視覚的弱者に配慮した快適視環境計画に関する検討
Project/Area Number |
12450237
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
井上 容子 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (70176452)
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Keywords | 明視性 / 高齢者 / 視力 / 字体 / 文字配列 / 文字寸法 / 文書の読み易さ / 文字色 |
Research Abstract |
明視性は、視対象物の条件、照明などの環境条件、見る者の視覚特性を総合して判断されるが、今年度は、特に視対象条件に重点を置き、日本語文字を読むという作業を対象として文字の間隔、形、配列、色彩の明視性への影響を明らかにした。尚、本研究は高齢者などの視覚的弱者に快適な視環境を提供することを目的とするため、視認能力の実用的指標である個人の最大視力を実験変数に組み込んでいる。 実験は日常生活における適正な矯正を行っている若齢者12名(年齢22〜29、近点視力1.4〜2.4)と高齢者10名(年齢67〜76、近点視力0.2〜1.4)である。評価視標の実験変数は文字の寸法、字体、字間、行間、縦横書き、文字色・背景色であり、視標面照度を30〜3000lxに設定した。評価は被験者毎に最も読みやすい視距離で行った。評価項目は読み易さ、明るさ感、誘目性、読む意欲の変化などであるが、今年度は主に読み易さについて解析を行った。 文書エリアが15deg×15degの範囲であれば、縦書き横書きという日本語文字の配列方向の違いは読み易さに影響しない。線の太いゴシック体は線の細い明朝体や教科書体に比べて、明視性の低い条件下(例えば、暗い、文字が小さい)では読み易いと評価されるが、明視性の高い条件下では読み難いと評価される。許容できる字間・行間の範囲は文字の大きさや視力の影響を受けるが、閾条件に近くなければ大きさや視力の影響は無視出来ると考えられ、字間比[(字間スペース+文字巾)/文字巾]≒1.05、行間比[(行間スペース+文字の高さ)/文字の高さ]≒1.95付近が文書として最も読み易く、狭すぎても広すぎても読み易さは低下する。 色彩については今年度は予備的検討に止まるが、輝度対比条件を揃えると色の読み易さへの効果が見られる場合もあるが、一般には色を付けると輝度対比が低下する場合が多く、その場合、誘目性への効果はあっても明視性は低下する。
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