2002 Fiscal Year Annual Research Report
協調設計における創造的コミュニケーションのモデル化
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12450246
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
両角 光男 熊本大学, 工学部, 教授 (50040449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西郷 正浩 崇城大学, 工学部, 講師 (30289623)
下川 雄一 金沢工業大学, 工学部, 講師 (90308586)
山口 重之 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00029266)
川角 典弘 和歌山大学, システム工学部, 講師 (30252547)
本間 里見 熊本大学, 工学部, 助手 (60284741)
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Keywords | コラボレーション / チーム / プロトコル分析 / 設計プロセス / コミュニケーションモデル / アイデアマネジメント / 組織論 / 創造性 |
Research Abstract |
(1)前年度までの研究を踏まえ、ファシリデータを配置して課題を文節化して作業する、アイデアの発散過程と収束過程を意識して討論する、カード等を併用してアイデアを明示しながら討論する、討論結果を文字化しチーム内で確認するなどの各点を、協調設計においてアイデアの相互触発=チームの創造性を高めるのための情報交換手法の仮説とした。 (2)仮説を検証するため、技術や設計経験の面でほぼ同等であるが、仮説に基づいて討論手法を工夫した実験チーム3チームと、特に工夫しない比較チーム3チームの合計チームを用意し、約10日間の協調設計実験を実施した。全チームとも、2〜3日の個人作業と3時間のチーム討論というサイクルを3回繰り返した後、それぞれチームの設計図書をまとめた。 (3)合計9時間のチーム別討論(発話)記録、各段階で提出された説明資料等を使用して、討論過程でメンバーが提出したアイデアの累積量、課題が求めた10の検討項目対するアイデアの広がり状況、討論の組み立てや相互触発機会の多寡、メンバー間のリレー式アイデア展開事例数、設計図書に反映されたアイデア数や忘れ去られたアイデア数などを、チーム間比較した。 (4)実験チームは比較チームに比べ、9時間の討論で出されたアイデアの量が多い。要求された項目に対して漏れなくアイデアを用意した上で、幾つかの項目について多くのアイデアを提案した。メンバー間でアイデアをリレー式に発展させた事例が多かった。討論を踏まえて設計図書に反映されたアイデアが多かった、等が観察された。これらから、想定した討論手法や、それを支援するファシリテータを配置した効果を確認した。 (5)また異なる実験を通じて、webを非同期的情報交換の核として協調設計する際に、携帯メールを利用してwebの更新状況を通知することが、メンバ-間の情報交換の速度を速めることなども確認した。
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[Publications] 坂本和夫: "アイデアの継承・発展状況の比較分析:建築協調設計における創造的コミュニケーション技術の研究 その1"日本建築学会大会学術講演会梗概集(北陸). E-1. 473-474 (2002)
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[Publications] 近藤純: "同期的コミュニケーション時の討論スタイルの分析:建築協調設計における創造的コミュニケーション技術の研究 その2"日本建築学会大会学術講演会梗概集(北陸). E-1. 475-476 (2002)
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[Publications] 松本州史: "WWWに対応した協調作業環境に関する基礎的研究"日本建築学会大会学術講演会梗概集(北陸). E-1. 477-478 (2002)
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[Publications] 下川雄一: "チームメンバー選択が設計案展開に与える影響:遠隔地間の協調設計に関する研究"日本建築学会大会学術講演会梗概集(北陸). E-1. 483-484 (2002)
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[Publications] 山川真代: "三次元デジダイザの初期設計プロセスへの適用に関する考察"日本建築学会大会学術講演会梗概集(北陸). E-1. 497-498 (2002)
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[Publications] 福田哲: "3次元切削装置を用いた建築設計プロセスの考察:企画設計段階におけるラピッドプロとタイピングの利用に関する研究"日本建築学会大会学術講演会梗概集(北陸). E-1. 499-500 (2002)
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[Publications] 両角光男: "設計教育における遠隔授業の情報交換技術とその考察-学生の発想を触発する設計教育プログラムの研究-"日木建築学会第24回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集(大阪). No.24. 283-386 (2002)
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[Publications] 松本祐司: "遠隔地間共同設計における携帯端末の利用とその可能性"日本建築学会第24回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集(大阪). No.24. 7-12 (2002)
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[Publications] 濱田猛: "インターネットを利用した建築設計教育に関する研究:共同設計プロジェクトDCW2001を通して"日本建築学会第24同情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集(大阪). No.24. 19-24 (2002)
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[Publications] 大西康伸: "インターネットを使ったデザインコラボレーションにおける行動分析(3):デザインプロセスにおける問題共有について"日本建築学会第24回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集(大阪). No.24. 79-84 (2002)
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[Publications] 両角光男: "ネットワークコラボレーションの可能性:情報の共有と創造をめぐって"日本建築学会建築計画本委員会設計方法小委員会、第6回設計方法シンポジウム:情報の共有と創発的デザイン資料集. No.6. 24-25 (2003)
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[Publications] 両角光男: "ヴァーチャル・デザイン・スタジオによるネットワークコラボレーションの理論"日本建築学会建築計画本委員会設計方法小委員会、第6回設計方法シンポジウム:情報の共有と創発的デザイン資料集. No.6. 26-29 (2003)
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[Publications] 中村弘希: "討論手法の違いによるアイデア展開プロセスの比較分析:建築協調設計における創造的討論技術の研究(その1)"日本建築学会研究報告九州支部. 第42号・3. 1-4 (2003)
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[Publications] チェジェフン: "討論手法の違いによる討論熟度の比較分析:建築協調設計における創造的討論技術の研究(その2)"日本建築学会研究報告九州支部. 第42号・3. 5-8 (2003)
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[Publications] 松本裕司: "遠隔地間協同設計に関する基礎的研究:コミュニケーションツールとチーム意識"日本建築学会研究報告九州支部. 第42号・3. 9-12 (2003)
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[Publications] 西郷正浩: "発話と図形に着目したコミュニケーションの分析:協調設計のプロセスに関する研究"日本建築学会研究報告九州支部. 第42号・3. 13-16 (2003)
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[Publications] 丸山絵美: "3次元スキャンデータを用いた設計プロセスの分析:デジタル設計ツールを用いた設計プロセスに関する研究"日本建築学会研究報告九州支部. 第42号・3. 17-20 (2003)
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[Publications] 両角光男: "コラボレーションによるデザイン、第2章3節「ヴァーチャル・デザイン・スタジオによるネットワークコラボレーションの理論"彰国杜(東京). 34-47 (2003)
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[Publications] 両角光男: "コラボレーションによるデザイン、第3章10節「設計教育におけるリレー・デザインの実験のその効果」"彰国社(東京). 172-182 (2003)