2000 Fiscal Year Annual Research Report
トンネル接合/ポーラスSi界面におけるホットエレクトロンの挙動
Project/Area Number |
12450254
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八田 有尹 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田山 智正 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20184004)
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Keywords | ホットエレクトロン / トンネル接合 / I-V特性 / ポーラスSi / MIM / STM / Ag / AlOx / Al / エレクトロルミネセンス |
Research Abstract |
Ag/AlO_x/Alのような金属/絶縁体/金属(MIM)からなるトンネル接合に対して金属の仕事関数以下の範囲で電圧(数V程度)を印加するとホットエレクトロン(hot-electron)と呼ばれるフェルミ準位(E_f)よりも高いエネルギー状態にある電子を生成させうる。本研究では、ポーラスSi(p-Si)基板上にMIMトンネル接合を作成し電圧を印加してhot-electronを生成させた場合のI-V曲線等を測定し、MIMトンネル接合自身、あるいは基板との界面におけるhot-electronの挙動を基礎的に調べること、さらにhot-electron注入によるp-Siのエレクトロルミネセンス(EL)励起の可能性を探ることを目的とした。 本年度はまず、MIMトンネル接合の形成条件を詳細に検討した。すなわち、電気伝導性とその表面に良好な絶縁層が得られやすいことを条件としAg/AlO_x/Alよりなるトンネル接合を電子ビーム蒸着装置により作成した。基板としては絶縁体であるガラスを用いた。得られるトンネル接合の電流-電圧(I-V)曲線やlogI-V、dI/dV-V曲線などをポテンショスタットを中心とするシステムを自作して室温および100K付近で測定した。その結果をSimonにより提案されている式にフィットし、トンネル接合特性の評価を行うことを通じ、トンネル接合作成条件として以下の(1)〜(4)が明らかになった。 (1)蒸着真空度は良好な程良く10^<-7>Torr以下で、(2)金属の蒸着膜厚はそれぞれ20nm程度、さらに(3)Al薄膜蒸着後純酸素を直ちに導入してその表面を酸化する。(4)Al酸化時の基板温度は室温でもトンネル特性が得られるが、より安定な接合を得る観点からは300℃程度が適当。 以上の条件を基に、p-Si基板上にMIM接合を作成しhot-electronの挙動に関して以下の検討を加えた。 (a)Ag/AlO_x/Alトンネル接合をガラス(絶縁体)基板とp-Si(半導体)に形成した場合のトンネル電子特性の比較:基本的に両基板上においてI-V特性等に顕著な違いは認められない。 (b)Ag/AlO_x/Al/p-Si系に対して可視光を照射した場合のトンネル電子特性に対する影響:ガラス基板上のトンネル接合に対して可視光(He-Cdレーザー;441.6nm)照射した際にはI-V特性に変化は認められない。これに対してp-Si基板上のトンネル接合に対して同様の光照射を行うと、トンネル電流が増加することがI-VおよびdI/dV-V曲線の測定から明らかになった。
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