2001 Fiscal Year Annual Research Report
電子チャンネリング角度高分解X線分光法の確立とスピネル化合物の照射不規則化の解析
Project/Area Number |
12450260
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松村 晶 九州大学, 工学研究院, 教授 (60150520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 和弘 九州大学, 工学研究院, 助手 (80253491)
金子 賢治 九州大学, 工学研究院, 助教授 (30336002)
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Keywords | マグネシア・アルミネート・スピネル / 動力学的電子回折 / 電子チャンネリング効果 / 照射効果 / 照射誘起不規則化 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、MgO/nAl_2O_3スピネルなどの酸化物セラミックスの新しい構造解析法をとして、ある角度範囲にわたって電子線の入射方位を細かく変えながら試料から発生してくる特性X線スペクトルを測定する手法(HARECXS)を確立し、それを応用してスピネル化合物の放射線照射に伴う局所的な不規則化挙動における原子移動過程を明らかにすることにある。本年度は、昨年度に整備した実験装置を用いて、1 MeV Ne^+イオンと500keVHe^+イオンを照射したスピネル化合物の局所原子配列を決定し、照射誘起不規則化挙動のイオン種と化学量論比依存性について検討を進めた。 具体的な実施内容は以下の通りである。 (1)HARECXS法によるX線強度プロファイルは、格子イオン配列の変化に対しても敏感であり、通常の電子顕微鏡像や電子回折図形では検知できないような構造変化を精度良く求めることができる。 (2)1 MeV Ne^+イオン照射により、n=1.0の化学量論組成化合物では、MgとAlの相互位置交換によって不規則化が進む。 (3)同様な照射を、組成がn=2.4の非化学量論化合物に行うと、照射による不規則化は主にAlとOイオンが4面体位置に変位することによって進む。 (4)500keV He^+イオン照射では、1 MeV Ne^+イオン照射と比較して、不規則化挙動は抑えられている。前者では、イオンの弾き出しが単独に進むことと、電子励起効果が強く、原子移動が誘起されやすいことが、弱い不規則化傾向の原因であると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松村 晶, 添田武志: "動力学的回折条件におけるX線分光と結晶評価"電子顕微鏡. 36・[1]. 2-8 (2001)
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[Publications] S.Matsumura, T.Soeda, N.J.Zaluzec, C.Kinoshita: "Electron channeling x-ray microanalysis for cation configuration in irradiated magnesium alminate spinel"Advances in Materials Problem Solving with the Electron Microscope. 129-134 (2001)
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[Publications] T.Soeda, M.Shimada, S.Matsumura, N.J.Zaluzec: "Radiation-induced disordering in magnesium aluminate spinel studied by electron channeling x-ray spectroscopy"Proc.the 4th Pacific Rim International Conference on Advanced Materials and Processing. 129-134 (2001)