2002 Fiscal Year Annual Research Report
チタンアルミナイドの模擬実用環境における耐食性と強度
Project/Area Number |
12450295
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 滋次 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50029196)
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Keywords | TiAl / 高温 / 酸化 / 酸化皮膜 / 保護性 / 燃焼雰囲気 |
Research Abstract |
軽量高温構造材料の候補としてγ-TiAl基材料が盛んに研究されている。その成果の一つとして乗用車用加給器ロータが実用化されているが、作動温度の上昇が望まれ、それに対応して耐酸化性の向上を図る必要がある。本研究ではTi-48Al-2Cr-2Nb, Ti-48Al-2Cr-2Fe, Ti-48Al-2Cr-2W and Ti-48Al-2Cr-1W-1Ta (mol. %)を試料とし、模擬エンジン燃焼雰囲気で繰返し酸化試験を行い耐酸化性を検討した。酸化温度とサイクル数は、850℃で15回および900℃で25回である。Fe含有試料以外は薄くて密着性が優れた保護性の高い酸化皮膜を形成した。その皮膜の中にAl_2O_3の非常に濃化した連続層が形成されており、これが優れた保護性をもたらした原因である。 これら3種類の試料では、850℃では放物線則に近い酸化増量を示し、試料間の差異は小さいが、Ti-48Al-2Cr-2Nbが最大で、Ti-48Al-2Cr-2Wが最小少である。その差は約20%でTi-48Al-2Cr-1W-1Taは両者の間にある。900℃では最初大きな酸化増量を示すが、すぐに酸化が非常に遅くなり、W含有試料では850℃の場合の酸化増量を下回る。つまり900℃では保護性の高い皮膜が短時間に形成され、それが長時間保持される。W含有試料の酸化増量はTi-48Al-2Cr-2Nbの約1/3である。Wの優れた効果が明らかとなった。さらに、模擬燃焼雰囲気と空気中での850℃100hの酸化増量を比較したところ、3試料において、空気中の方が大きいことがわかった。2元系TiAlでは雰囲気への水蒸気や炭酸ガスの添加で酸化が加速されるが、本研究では酸化初期に保護性の高い皮膜が形成されたので、それらの影響を受けなかったものと考えられる。 一方、Fe含有試料は酸化初期から酸化増量が大きく、皮膜の一部は剥離する。つまり耐酸化性が非常に劣ることがわかった。
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[Publications] S.Taniguchi: "TEM observation of the initial oxidation stages of TiAl and TiAl-0.2Zr"Materials at High Temperatures. 17・1. 35-40 (2000)
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[Publications] S.Taniguchi: "Structural Changes of Al_2O_3 Scales during High-Temperature Oxidation"学振耐熱金属材料第123委員会研究報告. 41・3. 317-327 (2000)
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[Publications] S.Taniguchi: "Influence of water vapour on the isothermal oxidation behaviour of TiAl at high temperatures"Materials Science and Engineering A. 307・1. 107-112 (2001)