2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12450296
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴田 俊夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90001205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春名 匠 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70243186)
藤本 愼司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70199371)
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Keywords | 不働態 / 炭酸イオン / 重炭酸イオン / 高レベル放射性廃棄物 / 表面改質 / 腐食防食 / 炭素鋼 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の最終処分法として、ガラス固化体の深層地下埋設が検討されており、保存容器材料として炭素鋼が想定されいる。深層地下は埋設直後を除き、それ以降は酸素の無い還元性雰囲気と考えられており、水そのものの鉄に対するきわめて小さな酸化作用のみが腐食の要因であり極めて弱い腐食環境ではあるが、長期にわたっての管理が不可欠なために腐食モニタリングの手法を確立する必要がある。深層地下環境での炭素鋼の腐食挙動を検知するためには、地下水に含まれる各種イオンが腐食にどのような影響を及ぼすか検討する必要がある。本研究では、深層地下環境での腐食モニタリング法開発の第1段階として、炭素鋼SM400Bの腐食におよぼす硫酸イオン、重炭酸イオン、炭酸イオンの影響を検討した結果、以下のことが明らかとなった。 (1)硫酸イオンはSM400Bの孔食発生を促進する。一方、重炭酸イオンは硫酸イオンによる孔食発生を抑制し、炭酸イオンはその抑制効果がさらに大きい。(2)SM400Bの分極曲線にみられる活性溶解速度は平衡重炭酸イオン濃度に依存し、一方、硫酸イオン濃度には無関係である。(3)硫酸イオンは炭素鋼の不働態域の低い電位領域にて還元されることが明らかとなった。このことは、深層地下環境にて硫酸イオンが炭素鋼に対して酸化剤となりうることを意味する。(4)SM400Bに生成する不働態皮膜は重炭酸イオン濃度が大きいほど安定化する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 柴田俊夫: "応力腐食割れへのHSAB則の適用"日本材料学会腐食防食部門委員会第52回研究集会資料. 52. 1-7 (2000)
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[Publications] T.Shibata: "A HSAB Concept Applied to Inhibition Effect of Anions on IGSCC of Sensitized Type304 Stainless Steel"Corrosion Science. 42・. 1071-1081 (2000)
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[Publications] 柴田俊夫: "腐食の基礎、電気化学便覧(第5版)"丸善. (2000)