2001 Fiscal Year Annual Research Report
種々の酸化物表面におけるThermal NOxの生成機構
Project/Area Number |
12450301
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長坂 徹也 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30180467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 光兀 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10091729)
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Keywords | thermal NOx / 大気汚染物質 / 窒素酸化物 / 反応速度 / 触媒反応 / 物質移動 / 界面化学反応 / 気固反応 |
Research Abstract |
代表的大気汚染物質のひとつであり、酸性雨の元凶となっているNOxは、その成因をサーマル、プロンプト、フューエルの3種類に大別できる。このうちサーマルNOxは、高温場で大気中の窒素と酸素が反応してできるものであり、適当な触媒が存在すれば、平衡論的には必ず生成する。NOxは、特殊な条件を除けばNOが主成分であり、最も有害なNOxであるNO_2も、その成因はNOの酸化であると言われており、NOx対策は、NO対策であると言い換えることができる。しかし触媒表面でのサーマルNOのケミカルな生成・分解反応機構については未だ不明である。 以上のような観点から、本研究では、種々の酸化物触媒表面におけるNOの分解・生成反応速度を測定し、その反応メカニズムを解明すると共に、高効率のNO分解触媒を探求することを目的とした。 研究初年度である平成12年度では、Fe_3O_4触媒表面での酸素-窒素混合ガスからのNO生成速度を測定した。その結果、触媒表面における化学反応は速く、ガス側物質移動過程によって反応が支配されていた。このことから、研究最終年度である平成13年度では、当初の予定に従って同位体交換法を用いた測定を試みた。しかしながら、導入する窒素、酸素中に微量に含まれるNO、もしくは質量数30に相当する炭化水素系物質のために、NO同位体の微小な濃度変化を検出することが困難であった。そこで、NOx低減のために最も重要なNOの分解速度の測定に計画変更した。その結果、石英、アルミナ、マグネシア触媒ではNOは分解せず、白金では約5%、マグネタイトでは約10%の最大分解率が得られた。マグネタイトを用いて、ガス流量、温度、NO分圧の影響について調べた結果、約950℃以下の温度では触媒表面における化学反応が律速段階であることが判明した。反応速度はNO分圧の1次に比例し、NO分子の解離が反応を支配していると推定された。しかし反応の活性化エネルギーは約400kJ/molと非常に大きく、1000℃以上ではガス側物質移動過程が律速となり、温度依存性が極めて小さくなることがわかった。 現在は、より詳細な反応メカニズムを解明するために、窒素や酸素の分圧依存性の測定を継続すると共に、更に高効率の分解触媒探求を目的として、Cr_2O_3、TiO_2、CaO等を触媒として用いて同様の測定を行っている。なお、触媒候補のひとつであるCr_2O_3はFeOやAl_2O_3と固溶体を形成し、結晶構造を連続的に変化させることができるので、ミクロな反応機構を検討する際に都合が良い酸化物である。そこで速度解析上必要な、これら固溶体の熱力学的性質についても実験的に検討している。
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Research Products
(1 results)