2002 Fiscal Year Annual Research Report
クロム-りん-鉄人工資源に対する分離プロセスの構築
Project/Area Number |
12450305
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
増子 昇 千葉工業大学, 工学部, 教授 (30010747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 智司 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (80118710)
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Keywords | 鉄系人工資源 / 下水道汚泥の減容 / パラ・エコ法 / クロム回収 / りん回収 / 酸化浸出 |
Research Abstract |
本研究は、下水汚泥の減容、無害化処理法の一つであるパラ・エコ法で生成する鉄メタルから、クロムやリンを回収するプロセスを構築することが目的である。特に近年の下水汚泥の減容処理は、鉄メタルにリンや重金属類を吸収させることが主流になりつつあり、生成メタルの処理法に対する関心は高い。 クロムの電解製錬工業の経験を生かして、メタルを全溶解し、クロム明礬、リン酸、酸化鉄を回収することが本来の狙いである。温度130℃以上、濃硫酸による高温強酸化浸出は可能であるが、90%以上の溶解には、遊星ミルによる前処理、6時間以上の反応時間を必要とするので、工業的な応用には不充分である。 新しい溶解法として目的成分の一つであるリンを気化分離できる可能性がある食塩飽和塩酸を利用することを検討した。この溶媒は、温度80℃、低濃度(1.2N)塩酸で、炭素鋼に対して7.5μm/min、18Cr-Fe合金に対して1.0μm/min、の溶解速度を示し、いずれの合金系に対しても活性化エネルギー60kJ/molの反応支配型の溶解である。どのくらいの割合でリンが気化溶解するかについては、まだ検討が進んでいないが、高濃度クロム含有資源を90分以下の浸出時間で溶解可能にする方法としては、新しい発見である。クロム含量の少ないパラ・エコ法以外の溶融法で産出する鉄メタルに対する適用はより容易であると考えられる。塩化物系溶液からの資源分離法までは研究が進まなかったが、本研究助成金のお蔭で、工業的利用の可能性の大きい溶媒系を発見出来た。詳細は現在準備中の研究報告書に譲る。
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