2000 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性高分子乳化剤の自己組織化とそれを反応場とする超機能性高分子微粒子の創製
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12450318
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉澤 秀和 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (20244262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 吉朗 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (90032945)
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Keywords | 高分子乳化剤 / 自己組織化 / 高分子ミクロスフェア / ミセル / ポリアスパラギン酸 / 表面張力 / 蛍光分光法 / 動的光散乱 |
Research Abstract |
高分子微粒子の機能発現や機能制御には、その表面をどのようにして高度に利用するかが重要課題である。しかしながら、ミニエマルション重合法や乳化重合法などの高分子微粒子調製プロセスでは、ある種の乳化剤や分散安定剤を使用するため、調製後に残存するこれらの物質が微粒子の特性を大きく支配することが指摘されている。 本研究では、生分解性を有する新規な水溶性高分子界面活性剤として疎水基を導入したポリアスパラギン酸を合成し、そのコロイド特性を評価した後、高分子微粒子調製に適用することを考えている。ポリアスパラギン酸主鎖が生分解性を有するため、調製後、表面に付着している親水部位を生分解させることで微粒子本来の特性を発現させることができると考えられる。本年度は、種々の疎水性側鎖を導入したポリアスパラギン酸の合成を行い、その自己組織化現象を水溶液の表面張力測定、蛍光プルーブ法、動的光散乱法などの手法を用いて検討することに重点をおいた。 疎水性側鎖としてラウリル基を15mol%、残部をベタイン基とした疎水性側鎖導入ポリアスパラギン酸(SY-5と略す)を合成した。その表面張力測定から、SY-5濃度が0.01wt%あたりから水溶液の表面張力は減少した。また、臨海ミセル濃度は1.0wt%であった。ANSNaを蛍光プルーブとする蛍光分光分析測定では、蛍光ピーク波長、強度ともに、0.01wt%の濃度から変化を始めており、これは表面張力測定結果と一致した。なお、ピレンを蛍光物質とした場合も上述の結果を支持した。以上の結果から、本実験で用いたSY-5は疎水基の導入により適度な親疎水バランスを有し、自己組織化可能な物質であることがわかった。このため、動的光散乱法による粒径計測を行ったところ、臨界ミセル濃度以下の濃度では約10nmの粒径が測定され、臨界ミセル濃度以上の濃度では30〜50nmの粒径が測定された。
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