2000 Fiscal Year Annual Research Report
エタノール燃料バイオマス用藍色細菌の代謝工学による二酸化炭素消費反応の高活性化
Project/Area Number |
12450329
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
太田口 和久 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20134819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅見 和弘 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80313344)
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Keywords | 藍色細菌 / カルバモイルソン酸シンターゼ / 代謝工学 / 化学合成 / CO_2消費 / Synechococcus sp. strain PCC7942 |
Research Abstract |
光合成無機独立栄養生物で単細胞性、原核生物の藍色細菌Synechococcus sp.strain PCC6301は文献に記載されている光合成生物の中では増殖速度が最も高く、しかも乾燥菌体重量当りのD-グルコース含量が0.501g/gに達するため、著者らは排ガス二酸化炭素を燃料エタノールに変換するための有望なバイオマスとして注目している。この細菌は、CO_2濃縮機構(CCM)を有しているため、CO_2処理用の触媒としての価値も極めて高い。ただし、CO_2濃縮機構により蓄積したCO_2の一部だけが光合成によって糖化されるため、未反応濃縮CO_2の有効利用法の開発が重要と成っている。本研究では、この問題に対処すべく藍色細菌Synechococcus sp.strain PCC7942-SPcに対し、化学的暗反応によって独立栄養的にCO_2消費(化学合成)反応を行う酵素の一つであるカルバモイルリン酸シンターゼ(CPSase)の遺伝子発現を促すような分子育種を行い、光合成、化学合成の複合機能の高活性化によりCO_2処理用の触媒としての価値を向上させることを目的とした。特に、アンモニウムとCO_2からカルバモイルリン酸を生成するCPSサブユニットをコードする遺伝子(carB)のクローニングを行った。藍色細菌Synechocystis sp.strain PCC6803由来のcarB遺伝子3,340bpを同菌ゲノムDNA断片より取得しPCRにより増幅した。大腸菌Escherichia coliBL21(DE3)に形質転換し発現解析を行ったところ活性は確認できなかった。次に大腸菌DH5 αゲノムcarB遺伝子をクローニングし、CPS活性の低い大腸菌C600に形質転換した。その結果、CPS比活性が146μmol/min・gの化学合成CO_2固定能を付与することに成功した。藍色細菌発現用ベクターpNT101にこの遺伝子を組み込みSynechococcus sp.strain PCC7942-SPcを形質転換したが、現時点では、顕著な発現量は確認できていない。今後、プロモータの強化、ゲノムへの相同組換えなどの手段の検討が必要と考える。
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