2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規生体内一酸化窒素(NO)検出・イメージング剤の開発と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
12450339
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 佳樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (70284528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 正治 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30304744)
|
Keywords | 一酸化窒素 / 分子プローブ / ESR / 蛍光分析 / 細胞情報伝達 / イメージング / 生体分析 |
Research Abstract |
本研究は、生体内の一酸化窒素の検出、イメージングのための新しい分子プローブの開発と、その性能評価である。 今回、開発したものは、スピンプローブと蛍光プローブである。まず、スピンプローブとしては、全く新しい機構に基づく、スピン交換の概念を提唱し、これを利用してサルコシンジチオカルバメートー鉄(II)錯体とTEMPOLを用いて、NOラジカルを安定で高感度検出可能なTEMPOLラジカルに変換する分子システムを設計、合成することに成功した。得られたプローブは、NOと直接反応してTEMPOLラジカルを生成し、その検出感度は、従来のNOスピントラップ剤に比べ25倍以上の感度を有していた。すなわち、このプローブを用いて従来は測定不可能であった、生理的NOも計測できる可能性があることが分かった。選択性を調べたところ、亜硝酸イオンや過酸化亜硝酸ではシグナルを与えず、NO選択的であった。 一方、蛍光プローブとしても、今回考案したスピン交換の概念を応用し、蛍光基としてアクリジンをアミド結合によりTEMPOに導入した化合物を用いて、これを前述のジチオカルバメート-鉄(II)錯体と組み合わせることにより新規な蛍光プローブ分子を設計、合成した。この分子は、TEMPOと鉄の相互作用により、蛍光を発しているが、NOにより、蛍光部分が解離し、TEMPOLラジカルが生成するため、アクリジン部の蛍光が消光することにより、NOの検出、定量が可能あった。この分子設計概念を用いれば、今後、2波長型測光が可能な実用的蛍光プローブが開発できると考えられ、検討していく予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Yoshiki Katayama et.al.: "A Novel Molecular System for Nitric Oxide Detection with High Sensitivity."Chemistry Letters. No.10. 1152-1153 (2000)
-
[Publications] Yoshiki Katayama et.al.: "New Strategy for the Design of Molecular Probes for Investigating Endogenous Nitric Oxide Using an EPR or Fluorescent Technique."Eur.J.Chem.Phys.and Phys.Chem.. (in press).
-
[Publications] Yoshiki Katayama et.al.: "NOラジカルの測定"ぶんせき. No.5. 252-256 (2000)