2000 Fiscal Year Annual Research Report
C-F結合の活性化によるC-Si結合の生成とフルオロ[2.2]シクロファン合成
Project/Area Number |
12450356
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宇根山 健治 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00033150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
網井 秀樹 岡山大学, 工学部, 助手 (00284084)
片桐 利真 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70202009)
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Keywords | フッ素化 / 脱フッ素化 / フッ素系材料 / パラーシクロファン / 絶縁体 |
Research Abstract |
フルオロ[2.2]シクロファンは耐熱性のある大容量半導体基盤の積層用絶縁膜のモノマーとして近い将来に産業界で利用されるため、その実用的製法とその基礎研究が待たれている。金属マグネシウムにより炭素-フッ素結合を活性化してフッ素シリル基に置き換える反応の開発を行った。DMF中ビスベンゾトリフルオリド(1)を塩化トリフルオロメチル存在下金属マグネシウムで還元すると2個のトリフルオロメチル基の内1個がジフルオロイリルメチル基に変換できた。収率は50%〜60%であり若干水素化体が副成した。次に、生成したペンタフルオロキシレン(2)をキシレン中、フッ化物イオンを触媒に脱シリル化-脱フッ素化によりテトラフルオローパラキノジメタン(3)を収率53%で得た。 本反応は2つの新規な反応プロセスを含んでいる。1つ目は脱フッ素化で消費されたフッ化物イオンが1,6-脱離反応により再生されるのでフッ化物イオンが触媒として循環できることである。2つ目はパラーシクロファン(4)の合成において2価のパラジウムがキノジメタン(3)の2量化を促進し(4)の収率を向上させることである。これはパラジウムが2個のキノジメタン(3)の2重結合に配位して2量化を促進したものと考えられる。本研究で開発した方法を現在米国でパイロット生産されている方法と較べると、原料の入手の容易さにおいて本方法が優っているものと考えている。 本方法で見い出したC-F結合の活性化法で始めて金属マグネシウムによるベンゼン環に結合したトリフルオロメチル基の脱フッ素化-トリメチルシリル化を実現できたので、今後応用展開へと研究を進める。
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