2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12450362
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20174279)
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Keywords | ロジウム / 炭素-炭素結合 / 活性化 / シクロブタノン |
Research Abstract |
3位にオルトスチリル基を持つシクロブタノン(1)をジクロロケテンとオルトジビニルベンゼンの[2+2]付加反応により合成した。こうして得られたシクロブタノン(1)を触媒量のカチオン性のRh-dppe(Ph_2PCH_2CH_2PPh_2)錯体の存在下m-キシレン中12時間加熱したところ、4-(オルトスチリル)-3-ブテン-2-オンが約50%の収率で生成した。まずシクロブタノンのα炭素とβ炭素間にロジウムが挿入し、次にβ水素脱離が起こり、最後にロジウムからの還元的脱離によって上記の開環生成物が得られたものと考えられる。対比実験としてオルトスチリル基の代わりにフェニル基を持つシクロブタノンを用いて同様な条件下で反応を行ったところ、全く反応が起こらず、出発物質が回収された。これらの結果の対比より、シクロブタノン(1)の場合はオルト位のビニル基がロジウムに配位して、これをシクロブタノンのα炭素とβ炭素間の結合の近傍に誘導して挿入を促進していることがわかった。一般に遷移金属による二つのsp3炭素間の結合の切断は、sp2炭素-sp3炭素間の結合の切断に比べて格段に困難とされている。上記の反応では二つのsp3炭素間の結合が切断されているが、オレフィン等の官能基の配位効果を利用すれば、このように不活性な結合の活性化も可能であることを示す興味ある結果といえる。ロジウムによって切断された二つのsp3炭素間にさらに不飽和官能基が挿入すれば、新規性、有用性ともに非常優れた反応になるので、今後詳細に単座配位子、二座配位子の効果を調べる予定である。
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[Publications] M.Murakami,T.Tsuruta,Yoshihiko Ito: "Lactone Formation by Rhodium-Catalyzed C-C Bond Cleavage of Cyclobutanone"Angew,Chem,Int.Ed.. 39・14. 2484-2486 (2000)