2002 Fiscal Year Annual Research Report
セラミック表面をもつ合成脂質リポソームの開発と新機能
Project/Area Number |
12450364
|
Research Institution | NARA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
菊池 純一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 善浩 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (90314541)
橋詰 峰雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (40333330)
|
Keywords | 有機-無機複合材料 / セラソーム / ナノ微粒子 / セラミックス / リポソーム / 人工多細胞 / 光触媒 / 分子デバイス |
Research Abstract |
本研究では、新規の有機-無機複合材料として、セラミック表面をもつ高強度の人工細胞膜「セラソーム」を開発し、その機能発現について検討を行ってきた。最終年度にあたる今年度は、以下の成果が得られた。 1.新規セラソームの作製 セラソームは、従来型のリポソームに比べて、膜表面に形成されるシロキサンネットワークにもとづいて著しい会合安定性が得られることを、界面活性剤に対する耐性実験等から明らかにした。また、双頭型セラソームや、不斉アミノ酸残基を導入したキラルセラソームを新たに開発した。 2.多細胞型セラソーム組織体の構築 従来型のリポソームは、会合安定性上の制約から単細胞モデルとしての利用に制限されてきたが、構造安定性に優れたセラソームを用いると人工多細胞としての階層的ベシクル集積体を構築できることを明らかにした。 3.セラソームの光触媒機能 前年度に見出したセラソームの光触媒機能について更に詳細な検討を加え、セラソーム表面の荷電状態に依存した基質選択性を有すること、セラソーム内に水溶性物質を保持できるユニークな光触媒微粒子であることを明らかにした。 4.分子デバイスとしてのセラソーム セラソームを人工多細胞としての機能を発現させる上で重要となる膜ドメイン形成能について評価し、セラソームでは従来型のリポソームよりも膜ドメイン形成が極めて有利であることを見出した。これにより、細胞の情報伝達系を規範にした分子デバイスを開発する上で、セラソームの有効性が明らかになった。 以上のように、本研究を通じて、新規の有機-無機複合ナノ物質としてのセラソームを開発し、セラソームが物質変換や情報変換などを行う機能材料として有望であることを明らかにした。
|
Research Products
(14 results)
-
[Publications] 有賀克彦: "有機・無機ハイブリッドベシクル"Cerasome"の作製条件"高分子論文集. 57・4. 251-253 (2000)
-
[Publications] 有賀克彦: "膜の上で機能を組合わせる-人工脂質のハイブリッド化と新機能・新素材の開発-"現代化学. 349. 16-22 (2000)
-
[Publications] 有賀克彦: "ベシクルナノ粒子のデザインとデバイス機能の発現"表面. 38・5. 203-213 (2000)
-
[Publications] K.Katagiri: "Novel Class of Organic-Inorganic Hybrid Vesicle "Cerasome" Derived from Various Amphiphiles with Alkoxysilyl Head"Stud. Surface Sci. Catal.. 132. 500-602 (2001)
-
[Publications] K.Ariga: "Langmuir Monolayer of Organoalkoxysilane for Vitamin B_<12>-Modified Electrode"Phys. Chem. Chem. Phys.. 3・16. 3442-3446 (2001)
-
[Publications] 片桐清文: "自己組織性を利用した有機-無機複合材料の開発"BIO INDUSTRY. 18・4. 19-25 (2001)
-
[Publications] 菊池純一: "人工細胞膜で創る超分子ナノデバイス"マテリアルインテグレーション. 14・5. 49-53 (2001)
-
[Publications] K.Katagiri: "Layered Paving of Vesicular Nanoparticles Formed with Cerasome as a Bioinspired Organic-Inorganic Hybrid"J. Am. Chem. Soc.. 124・27. 7892-7893 (2002)
-
[Publications] K.Katagiri: "Layer-by-Layer Self-Assembling of Liposomal Nanohybrid "Cerasome" on Substrates"Langmuir. 18・17. 6709-6711 (2002)
-
[Publications] K.Katagiri: "Preparation and Surface Modification of Novel Vesicular Nano-Particle "Cerasome" with Liposomal Bilayer and Silicate Surface"J. Sol-Gel Sci. Tech.. 26・1-3. 393-396 (2002)
-
[Publications] 橋詰峰雄: "ベシクル構造を有する有機-無機ナノハイブリッド「セラソーム」の作製と三次 元集積化"高分子加工. 51・9. 413-419 (2002)
-
[Publications] M.Hashizume: "Stable Vesicular Nanoparticle "Cerasome" as an Organic-Inorganic Hybrid Formed with Organoalkoxysilane Lipids having a Hydrogen-Bonding Unit"Thin Solid Films. (in press).
-
[Publications] 片桐清文: "図解ナノテクノロジーのすべて"表面をセラミックコーティングした人工細胞膜. 4 (2001)
-
[Publications] J.Kikuchi: "Advances in Supramolecular Chemistry, Vol.8"Cerberus Press. 43 (2002)