2002 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性高歪み化合物アジリン類の効率的調製と天然,非天然アミン,アミノ酸類の合成
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12450366
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
酒井 貴志 岡山大学, 工学部, 教授 (00170556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是永 敏伸 岡山大学, 工学部, 助手 (70335579)
依馬 正 岡山大学, 工学部, 助教授 (20263626)
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Keywords | アジリン / 光学活性 / リパーゼ / 不斉合成 / 酵素 / アミノ酸 / 低温反応 / アジリジン |
Research Abstract |
新規アジリンカルボン酸エステルの合成に成功した。β-ケトエステルをヒドロキシアミンでオキシムへ誘導し、トシル化後にトリエチルアミンを添加するとアジリンが得られた。 リパーゼを用いた極低温下におけるアジリンメタノール誘導体の速度論的光学分割反応の効率を上げることに成功した。多孔質セラミックスに固定化したリパーゼを用いることにより、反応速度が著しく向上し、低温法の欠点を克服できた。ところが、エナンチオ選択性は低下した。これを克服するために、アシル化試薬の種類を検討したところ、エナンチオ選択性が上がる条件が見つかった。酪酸ビニルを用いたときE値=96で触媒回転数は10倍以上になった。-40℃でも充分な反応速度と高いエナンチオ選択性が達成できた。 リパーゼを用いた光学分割において、反応温度を下げることによってエナンチオ選択性が向上することをこれまでに見出している。このときエナンチオ選択性は物理化学式に従って向上するが、ある温度以下になると、エナンチオ選択性は別の熱力学式に従って低下することが分かった。この温度を「転化温度(Inversion Temperature)」と呼ぶ。アジリンメタノールを基質とした反応において、溶媒を変えて調査したところ、溶媒の種類によって転化温度が異なることが判明した。さらに、リパーゼの種類を変えても、異なる転化温度が得られた。転化温度と溶媒の種々のパラメータとの相関を調べた。基質の溶媒和状態を調べるために、NMRによる低温測定も行った。酵素及び基質が溶媒と複雑に影響しあった複合的要因により転化温度が決定されているものと考えられる。
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[Publications] Sakai, T., Hayashi, K., Yano, F., Takami, M., Ino, M., Korenaga, T., Ema, T.: "Enhancement of the Efficiency of the Low Temperature Method for Kinetic Resolution of Primary Alcohols by Optimizing the Organic Bridges in Porous Ceramic-Immobilized Lipase"Bull.Chem.Soc.Jpn.. (印刷中). (2003)