2001 Fiscal Year Annual Research Report
重合誘起型オリゴマー結晶化を利用した精密重縮合技術の開発
Project/Area Number |
12450374
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木村 邦生 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (40274013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 薫 岡山大学, 工学部, 教授 (80013506)
山下 祐彦 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20032930)
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Keywords | 成分分別重縮合 / 連鎖配列制御 / 非等モル性 / ウィスカー / 重合結晶化 / 精密重合 / 高次構造 / ポリエステル |
Research Abstract |
本研究では,高温溶液重縮合過程でオリゴマーの結晶化を誘起し,その後生成したオリゴマー結晶内でトポケミカルに固相重合を行うという新規概念に基づいき,一次構造から高次構造までを同時に制御する精密重縮合技術について検討した。 1.成分分別重縮合:流動パラフィン(LPF)中,P-アセトキシ安息香酸(P-ABA)とm-アセトキシ安息香酸(m-ABA)を所定の比率で仕込み,330℃で静置下6時間重合してポリマー結晶を得た。m-ABAの仕込みモル比率(÷f)が30mol%までは針状結晶が生成した。結晶の組成を分析した結果,m-オキシベンゾイル成分含有比率は÷fより著しく低く(<5mol%),オリゴマーの相分離過程をともなう溶液重合では成分分別が起きていることが明らかとなった。この成分分別重縮合は,オリゴマー相分離挙動の共重合組成依存性と両モノマーの反応速度差により起こっていることを明らかにした。 2.連鎖配列重縮合:p-ABAとS-アセチル-4-メルカプト安息香酸(AMBA)とを所定比率で仕込み,LPF中,濃度1.0wt/vol%,300℃で6時間重合を行いランダム共重合体を得た。また,モノマーとして,p-ABAとAMBAからなる交互,或いは周期連鎖構造を有する2,3量体を合成し,ランダム共重合と同様の条件で重合を行い交互及び周期共重合体を得た。ランダム共重合では,仕込み組成中のABA単位のモル比が0.6〜0.1の範囲では晶癖の明確でない球状物のみが生成した。規則的共重合連鎖構造を有するモノマーを用いて重合を行ったところ,いずれもモノマーからもオリゴマーの結晶化を誘起することができ,ウィスカーとなることが分かった。得られたウィスカーは,共重合連鎖配列を保っていた。エステル交換による連鎖配列のランダム化より速くオリゴマーが析出結晶化し,固相での後重合過程では交換反応が抑制されたためである。 3.非等モル条件下での重縮合:p-hexyloxybcnzoic acid(HOBA)とp-decyl oxybcnzoic acid(DOBA)を用い,LPF中に所定量のp-BAとともに,窒素雰囲気中320℃で静置下6時間重合した。HOBAの仕込みモル比が0.6以下で結晶が生成し,その分子量は4.08×10^3以上と高分子量であった。DOBAを共存させた重合では,DOBAの仕込みモル比が0.3以下でしか結晶の析出は認められなかったが,分子量は2.78×10^4以上と高く,同じモル比で比較するとHOBAの場合よりDOBAの方が高分子量体が生成した。モノカルボン酸共存下での重縮合は,以下の過程で進行し分子量か増大することが分かった。(1)封鎖末端を持つオリゴマーが析出し,結晶化と同時にエステル交換反応により重合が起こり末端基が排除されながら分子量が増大する。(2)末端封鎖基の一部は結晶内に取り込まれるが,固相重合により排除され分子量が増大する。
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