2000 Fiscal Year Annual Research Report
表面力測定による高分子電解質ブラシの構造と相互作用の解明
Project/Area Number |
12450378
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗原 和枝 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (50252250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TAMAS Haraszti 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (40312681)
宮原 隆 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (20292302)
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Keywords | 表面力測定 / 高分子電解質ブラシ / 対イオン凝集 / ポリブルタミン酸 / ポリリジン / ラングミュアーブロジエット膜 |
Research Abstract |
高分子電解質は、基礎科学的にも、また工学、生物学との関連からも重要な物質である。本研究は、高分子電解質を基板上に二次元的にブラシ状に並べ、相互作用の距離依存性を直接測定する表面力測定を中心手段として、その構造と相互作用の特色を明らかにすることを目的とする。具体的な成果は次のようである。 (1)ラングミュアブロジェット(LB)法による高分子電解質ブラシの調製、評価:LB法による高分子電解質ブラシの調製には(1)様々な種類の高分子電解質のブラシ構造を形成できる、(2)密度を自由に変えられる、という利点がある。新たに非ペプチドであるポリメタクリル酸の合成を行った。重合度及びその分散は液体クロマトグラフで測定し、現在、鎖長分布を確認中である。 (2)高分子電解質ブラシの表面力測定:ポリリジンブラシの表面力測定を行った。表面間距離約30nmに力の不連続な変化が観測され、遠距離成分は電気二重層力で表され、これよりブラシ層の表面電位、電荷密度を求めた。また、ブラシ層の立体斥力に起因する近距離成分から、高分子電解質鎖の有効長、および圧縮弾性率を求め、またこれらの水溶液相のpH、塩濃度依存性を調べた。 (3)相互作用のブラシ密度依存性:イオン化したポリグルタミン酸において、密度を下げていくとある域値で突然、立体斥力成分(即ち圧縮弾性率)が大きくなる相互作用の転移を見出し、対イオンの高分子鎖への結合状態(即ち活量)変化と考えている。この転移の一般性を確認するために、ポリリジンブラシ層の密度を変えて表面力測定を行った。その結果、ポリグルタミン酸ブラシ層と同様に、鎖密度Γ=0.19本/nm^2をしきい値として、鎖一本あたりの圧縮弾性率は高密度側で0.28±0.08pN、低密度側で3.0±0.2pNと不連続に変化することが分かった。同様に密度に依存した不連続な変化はポリリジンブラシ層の累積比、表面電位にも現れることも新たに見出した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Mizukami and K.Kurihara: "Ethanol Cluster Formation on Silicon Oxide Surface in Cyclohexane-Ethanol Binary Liquids"Chemistry Letters. 248-249 (2000)
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[Publications] T.Abe,S.Hayashi,N.Higashi,M.Niwa and K.Kurihara: "Charge Regulation in Polyelectrolyte Brushes Studied by FTIR Spectroscopy"Colloids Surfaces A. 169. 351-356 (2000)
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[Publications] 栗原和枝: "表面力測定によりわかる固-液界面の分子の挙動"高分子. 49. 392-397 (2000)
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[Publications] Y.Nakai and K.Kurihara: "Photoinduced Long-Range Attraction between Spiropiran Monolayers Studied by Surface Forces Measurement"Studies in Surface Science and Catalysis. 132. 869-872 (2001)
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[Publications] S.Hayashi,T.Abe,N.Higashi,M.Niwa and K.Kurihara: "Transition Behavior of Polyelectrolyte Brushes Depending on Polymer Chain Density"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. (in press). (2001)
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[Publications] S.Nakasone,M.Mizukami and K.Kurihara: "Preparation of Polymer Nano Films by In-situ Polymerization of Hydrogen Bonded Clusters on Silica Surfaces"Trans MRS-J. 26(in press). (2001)
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[Publications] K.Kurihara: "Molecular Architectures at the Solid Liquid Interface Studied by Surface Forces Measurement, in Nano-Surface Chemistry (M.Rosoff ed.)"Marcel Dekker Inc.. (1-16) (2001)
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[Publications] 水上雅史,栗原和枝: "「界面ハンドブック」〜基礎から応用まで〜、基礎編6.2.表面力と固/液界面の特性"(株)エヌ・ティー・エス(印刷中). (2001)