2003 Fiscal Year Annual Research Report
電荷注入・溶媒牽引法によって高速で大変形する非イオン性高分子ゲル人工筋肉材料
Project/Area Number |
12450382
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平井 利博 信州大学, 繊維学部, 教授 (30126700)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 真志 信州大学, 繊維学部, 助手 (90301209)
|
Keywords | 誘電ポリマー / ゲル / 柔軟駆動材料 / 人工筋肉 / 可塑化ポリマー / 自律応答材料 / エラストマー / 機能性材料 |
Research Abstract |
平成14年度までに明らかにした現象の詳細を検証すること、さらに発展させることが、以下のように達成できた。 高膨潤ゲル系での構造変化: 分子配向は低電場下でのみ観察され、駆動条件下では配向が消失することから、溶媒のゲル内での流動、すなわち、イオンドラッグが分子配向を消失させていることが明らかになった。この間のメゾスコピックな構造変化は小角X線散乱によって検証され、ゲルが20Aの近距離構造と60Aの長距離構造を持ち、散乱体の最大径が120A程度であることが示された。この構造は、電場印加で長距離構造が縮小しながら破壊され、近距離構造が増加し、最大径は若干増加するものの大きくは変化しないという様な変化を示すことが明らかになった。 一方、可塑化ゲルの場合、30Aの近距離構造と120Aの長距離構造を持ち、最大径200Aの散乱体をもって構成されており、類似のゲル構造を持つが、可塑剤濃度の増加でこれらの構造は長周期化し、膨潤することが示された。 電場印加でゆうされる変形には大きな差異があり、前者の場合、溶媒流動が誘起されるのに対して、後者では、そう言った現象は生じず、ポリマーネット自体を流動化させるような変形、すなわち、アメーバの示す偽足様の変形挙動が見られた。これは、しかち、形状を回復する機能を持ち、可逆的な変形である。 この新規な変形の詳細を電場印加時の構造変化から追跡した結果は、分子レベルの配向は生じず、メゾスコピックな変形であることが明らかになった。分子配向については、実験条件の制約もあり、十分実体を把握できているとは言えない段階であるが、高膨潤ゲルとは異なるものの、高分子溶媒相互作用が生じた構造上の際に由来する変形の多様性であることが明らかになった。 エラストマーでは、昨年に続き、電極材料にナノカーボンを採用することで一段の改善を図ることができ、今後の展開に新たな方向を示唆することができた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Toshihiro Hirai, Shigeyuki Kobayashi, Mitsuhiro Hirai, Masaki Yamaguchi, Md.Zulhash Uddin, Masashi Watanabe, Hirofusa Shirai: "Bending induced by creeping of plasticized poly(vinyl chloride) gel"Proceedings of SPIE, Smart Structures and Materials 2004, Electroactive Polymer Actuators and Devices, 14-18 March, San Diego, California, USA. 5358(In press). (2004)
-
[Publications] Md.Zulhash Uddin, Masashi Watanabe, Hirofusa Shirai, Toshihiro Hirai: "Effect of Plasticizers on Novel Electromechanical Actuations with Different Poly(vinyl chloride) Gels, vol.41,2119-2127(2003)"J.Polym.Sci. : Part B : Polymer Physics. 41. 2119-2127 (2003)
-
[Publications] Toshihiro Hirai, Md.Zulhash Uddin, Jianming Zheng, Masaki Yamaguchi, Shigeyuki Kobayashi, Masashi Watanabe, Hirofusa Shirai: "Quick and large electrostrictive deformation of non-ionic soft polymer materials(Invited paper)"Proceedings of SPIE, Smart Structures and Materials 2003, Electroactive Polymer Actuators and Devices, 3-6 March, San Diego, California, USA. 5051. 198-206 (2003)
-
[Publications] M.Watanabe, J.Zheng, A.Hara, H.Shirai, T.Hirai: "A Pumping Technique Using Electrohydrodynamic Flow Inside a Gel"IEEE Trans.Dielectr.Electr.Insul.. 10(1). 181-185 (2003)
-
[Publications] M.Watanabe, H.Shirai, T.Hirai: "Liquid-liquid Two-layer Electrohydrodynamic Flow System"Sens Actuators B. 94(3). 267-270 (2003)
-
[Publications] 平井利博(吉野勝美編集): "ナノ・IT時代の分子機能材料と素子開発"エヌ・ティー・エス. 771 (2004)