2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12450387
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 文彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (50107695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 毅 京都大学, 工学研究科, 助手 (80303866)
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Keywords | 会合高分子 / 相図 / 可逆ゲル / 相分離 / ミクロ相分離 / 分子会合 / 水素結合液晶 / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
今年度は,相図予測システムの理論部分としては,(1)水溶性会合高分子の疎水性相互作用によるゾル・ゲル転移とミセル形成,マクロ相分離との干渉,(2)水素結合超分子の液晶相形成,の2つのテーマについて「会合高分子溶液論」をもとに高速かつ安定した計算で相図を導出する数値計算法を開発した.前者では高分子のネットワーク形成と分子内フラワーミセル形成が競合し,複雑に入り組んだゾル・ゲル線が現れるので,ゲル点や多相平衡を決定する非線形の連立方程式の解(多数現れる)を残らずに求める収束性の良いアルゴリズムを開発する必要がある.後者では,最も単純なプロトタイプとして,水素結合による異種分子の2量体形成を考察しているが,液晶相は,ネマチック相の他に様々な層状構造をとるスメクチック相が出現するので,非常に複雑な液晶相転移と2相平衡領域が出現する.また,2量体理論を主鎖会合,側鎖会合に理論を展開した.相図予測システムの計算機シミュレーション部分としては,主鎖上に周期的に疎水基を有するような会合高分子をバネ・ビーズ模型で表し,オフラティスでのモンテ・カルロ法でシミュレーションを行った.テレケリック会合高分子では,フラワーミセルの構造と相図上での出現領域が特定された.また,ゲルのネットワークの架橋構造や運動性,ループの割合,2つの隣り合う架橋点を連結する鎖の数(多重連結の部分が現れる),有効鎖の組み替え,等が明らかになった.また,周期的会合高分子に界面活性剤を添加した系のゲル化とコンホメーション変化を調べた.鎖に剛直性を導入するとゲル化やネットワーク構造がどのように変化するか調べPBLGの実験と比較検討した.会合数を2に制限する条件を導入すると水素結合の飽和性を考慮した会合になるので,現在はこの方法で3官能高分子の水素結合ネットワークの構造解析を行っている.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] F.Tanaka: "Thermoreversible Gelation Strongly Coupled to Polymer Conformational Transition"Macromolecules. 33・11. 4249-4263 (2000)
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[Publications] F.Tanaka and T.Koga: "Intramolecular and Intermolecular Association in Thermoreversible Gelation of Hydrophobically Modified Associating Polymers."Computational and Theoretical Polymer Science. 10. 259-267 (2000)
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[Publications] F.Tanaka and T.Koga: "Theoretical and Computational Study of Thermoreversible Gelation"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 74・2. 201-215 (2001)
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[Publications] 田中文彦,古賀毅: "会合高分子の分子内ミセル形成とゲル化"京都大学 日本化学繊維研究所 講演集. 57. 61-68 (2000)