2002 Fiscal Year Annual Research Report
簡素構造分子の概念による有機エレクトロルミネッセンス材料の設計
Project/Area Number |
12450389
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
筒井 哲夫 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (40037982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片平 賀子 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (90315143)
藤田 克彦 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (20281644)
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Keywords | 簡素分子構造 / 有機エレクトロルミネッセンス / キャリア移動度 / Time-of-Flight法 / 空間電荷制限電流法 / 電界効果トランジスタ法 |
Research Abstract |
複雑な分子に複雑な機能を担わせることを競う従来型学問の固定概念を捨て去り、出来るだけ簡素な分子構造を持つ分子に、本質的に必要な単一の機能を担わせることだけを考える新しい「簡素分子構造の設計の概念」を検証することを目的として、最終年度の平成14年度は有機薄膜材料のTime-of-Flight法によるキャリヤ移動度の測定を低分子蒸着薄膜系並びに共役高分子系について実施し、結果を総括した。また、新しいキャリヤ移動度の評価法としての電界効果薄膜トランジスタ法を確立し、各種有機薄膜のキャリヤ移動度を従来とは異なる観点から評価した。 1.低分子系薄膜ならびに共役高分子系薄膜のキャリヤ移動度のTime-of-Flight法による評価 低分子系薄膜ならびに共役高分子系薄膜の電子物性についてデータを蓄積する意味から、Time-of-Flight法によるキャリヤ移動度について系統的な実験を実施した。一方、電界効果薄膜トランジスタ法によるキャリヤ移動度の評価を実施し、両手法から得られる移動度の値を比較した。Time-of-Flight法は膜厚方向のキャリヤ移動を観測し、過渡的に発生させたキャリヤの移動過程を観測するのに対して、電界効果薄膜トランジスタ法は膜面に平行方向のキャリヤ移動を定常状態で観測するという違いがあり、一概に移動度の値だけを比較するのは意味がなく、本質的に異方性を持ち、キャリヤトラップが無視できない材料である有機材料を、ただ一個の物質パラメータとしてのキャリヤ移動度で表現することは不可能であることを実験例を持って示した。 2.簡素分子構造分子概念のモデル系の実験研究 簡素分子構造分子概念を有機デバイス設計に取り入れるモデル系の実験として、炭化水素のみからなるπ共役系高分子を合成し、それらを用いて発光デバイスと薄膜トランジスタを作製し性能を評価した。極度に複雑な分子構造を導入しなくても、有機溶媒への溶解性を保持する部位、キャリヤ移動性を保証するπ共役鎖、蛍光性を高める立体障害を導入する部位などを総合的に考慮した分子設計で、基本設計は十分であるという簡素分子構造の設計概念を例証できたと考える。
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[Publications] T.Tsutsui et al.: "The Shift from "Hard" to "Soft" Electronics"Adv. Mater.. Vol.14 No.13-14. 949-952 (2002)
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[Publications] T.Yasuda et al.: "Carrier Mobilities in Organic Electron Transport Materials Determined from space Charge Limited Current"Jpn. J. Appl. Phys. Vol.41 No.9. 5626-5629 (2002)
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[Publications] X-C Gao et al.: "Switchable Organic Electroluminescence"Appl. Phys. Lett.. Vol.81 No.24. 4508-4510 (2002)
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[Publications] T.Tsutsui: "A Light-Emitting Sandwich Filling"Nature. Vol.420. 752-755 (2002)