2000 Fiscal Year Annual Research Report
イネの発生・形態形成を制御する遺伝子の単離とその機能の解明
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12460002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00192716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長戸 康郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10143413)
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Keywords | DL遺伝子 / YABBY遺伝子 / 花 / 発生・分化 / 心皮 / 器官決定 / ホメオティク変異 / イネ(Oryza sativa) |
Research Abstract |
シロイヌナズナなどの双子葉植物においては,花の器官決定を制御する遺伝子はMADS遺伝子ファミリーに属し,2つの隣接するwhorlで機能していること,心皮の決定にはAG遺伝子が大きな機能を果たしていることが明らかとなっている.イネのDL遺伝子の欠損変異体は,心皮が雄蕊に転換するホメオテックな変異を示す.この遺伝子を単離したところ,YABBY遺伝子ファミリーに属すること,心皮が形成される一つのwhorlのみで発現し機能していることが明らかとなった.したがって,イネにおいては花の器官決定は双子葉植物とは少し異なる機構によって制御されていると考えられる.そこで,このDLの機能とそれから推定される花の発生モデルが一般化できるのかどうかを明らかにする目的で,イネ科のコムギおよびトウモロコシよりDLの相同遺伝子をそれぞれ単離した.次年度からは,野生型および変異体の花分裂組織におけるこれらの遺伝子の発現パターンを解析し,そのモデルがこれらの植物に適用できるかどうかを検討する予定である. YABBY遺伝子は,シロイヌナズナにおいては種々の発生過程で重要な機能を果たしていることが示されている.そこでイネにおけるYABBY遺伝子ファミリーの機能を解明することを目的として,新たに6種のYABBY遺伝子を単離した.in situハイブリダイゼーションにより空間的・時間的な発現パターンを解析したところ,各々の遺伝子で興味深い発現パターンが示された.シロイヌナズナでは,YABBY遺伝子は一般的に背腹性を制御すると考えられているが,イネにおいてはそのような機能を推定するような発現パターンは得られず,単子葉植物のYABBY遺伝子の機能は双子葉植物とは大きく分岐していることが示唆された.
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[Publications] Kikuchi,K.: "Molecular analysis of the NAC gene family in rice."Mol.Gen.Genet.. 262. 1047-1051 (2000)
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[Publications] Hirano,H.-Y.: "Comparison of Waxy gene regulation in the endosperm and pollen in Oryza sativa L."Genes Genet.Syst.. 75. 245-249 (2000)
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[Publications] Inukai,T.: "Analysis of intragenic recombination at wx in rice : Correlation between the molecular and genetic maps within the locus."Genome. 43. 589-596 (2000)
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[Publications] Mikami,I.: "Effects of the two most common Wx alleles on different genetic backgrounds in rice."Plant Breed.. 119. 505-508 (2000)
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[Publications] Harada,K.: "Isolation and structural analysis of the YABBY gene family in rice."Rice Genet.Newslett.. 17(in press). (2000)