2001 Fiscal Year Annual Research Report
イネのプロテオーム解析に関する研究-ポストゲノムプロジェクト研究として-
Project/Area Number |
12460004
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
平野 久 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (00275075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々 英徳 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (50295507)
川崎 博史 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助教授 (70169704)
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Keywords | プロテオーム / 蛋白質 / プロテアソーム / 機能 / 翻訳後修飾 / 種子胚芽 / 発芽 / イネ |
Research Abstract |
イネゲノム情報の有効な利用を図るため、実際に分離精製した蛋白質の分析により、多くの蛋白質とゲノムDNAを対応させると共にそれらの機能と機能ネットワークの解明を目指す。咋年度、質量分析装置とシークエンサーによって分析されたイネ(品種日本晴)胚芽蛋白質100のうち、26%はすでにイネで解析されている蛋白質、20%は他の植物の蛋白質と配列に相同性のある蛋白質、そして、残り54%はこれまで分析されていない蛋白質であることを明らかにした。そこで、本年度は、これら54の蛋白質の機能を解明する目的で、発芽過程における動態を二次元電気泳動とPDQuestソフトウエアを用いて調べた。その結果、発芽過程で発現量の変動がみられる多くの蛋白質、すなわち、発芽成長に何らかの役割を果たしていると考えられる蛋白質を特定することができた。また、胚芽蛋白質組成の品種間差異を調べ、いくつかの品種特異的な蛋白質を検出した。一方、プロテオーム解析の基盤的な研究として、翻訳後修飾と機能との関係を明らかにし、それをデータベース化する研究に着手した。まず、イネと酵母(モデル系)の巨大蛋白質複合体プロテアソームの翻訳後修飾を網羅的に解析した。その結果、プロテアソームサブユニットのN-アセチル化、N-ミリストイル化およびリン酸化などの修飾をMSによって検出できた。また、酵母では、N-アセチル化やリン酸化とプロテアソームのプロテアーゼ活性に相関があることが明らかになった。さらに、染色体欠失系統を作出できるコムギを用い、特定の蛋白質が欠失した時、変動する蛋白質を調べることによって蛋白質の機能的なリンケージを明らかにし、これからイネにおける機能的ネットワークを推定する新しい相互作用分析法を開発する研究も開始した。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] Hirano, H: "Polymorphism of glucose phosphate isomerase from mulberry(Morus spp.)"Jpn. J. Electrophoresis. (in press).
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[Publications] Islam, N.: "Proteome approach to caracterize seed storage proteins related to ditelocentric chromosomes in common wheat (Triticum aestivum L.)"Proteomics. (in press).
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[Publications] Sassa, H.: "A pistil-specific thaumatin/PR 5-like protein gene of Japanese pear : sequence and promoter activity of the 5' region in transgenic tobacco"Plant Mol. Biol.. (in press).
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[Publications] Shibahara, T.: "Identification of the 19S regulatory particle subunits from the rice 26S proteasome"Eur. J. Biochem.. (in press).
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[Publications] Woo, S.-H.: "Efficient peptide mapping and its application to identify embryo proteins in the rice proteome analysis"Electrophoresis. 23. 647-654 (2002)
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[Publications] Iwafune, Y.: "Electrophoretic analysis of phosphorylation of the yeast 20S proteasome"Electrophoresis. 23. 329-338 (2002)
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[Publications] Yamamoto, M.: "Axonal transport of puromycin-sensitive aminopeptidase in rat sciatic nerves"Neurosci. Res.. 42. 133-140 (2002)
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[Publications] Hagiwara, T.: "Deimination of arginine residues in uncleophosmin/B23 and histones in HL-60 granulocytes"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 290. 979-983 (2002)
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[Publications] Oguchi, S.: "OsPAA2, a distinct α1 subunit gene for the 20S proteasome in rice(Oryza sativaL)"Gene. 272. 19-23 (2001)
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[Publications] Ushijima, K.: "Characterization of the S-locus region of almond (Prunus dulcis) : Analysis of a somaclonal mutant and a cosmid contig for an S haplotype"Genetics. 158. 379-386 (2001)
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[Publications] 木村弥生: "タンパク質複合体を構成するサブユニットの翻訳後修飾の網羅的解析"生物物理化学. 45. 129-137 (2001)
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[Publications] 平野 久: "プロテオーム解析-理論と方法-"東京化学同人. 340 (2001)
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[Publications] 平野 久: "プロテオーム,アエラムック 植物学がわかる"朝日新聞社. 165-169 (2001)
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[Publications] 平野 久: "基礎生化学実験法第3巻,タンパク質I 検出・構造解析法"東京化学同人. 136-142 (2001)
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[Publications] 平野 久: "基礎生化学実験法第3巻,タンパク質II 機能・動態解析法"東京化学同人. 207-212 (2001)
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[Publications] 平野 久: "動物遺伝育種学事典"畜産技術協会. 513-515 (2001)
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[Publications] 平野 久: "プロテオミクスの基礎"講談社サイエンティフィク. 159 (2001)
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[Publications] 平野 久: "プロテオーム解析概略,アドバンストコーステキスト"日本質量分析学会. 1-21 (2001)