2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12460005
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
笹隈 哲夫 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (70124310)
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Keywords | コムギ / 塩耐性 / QTL |
Research Abstract |
研究の目的 コムギに塩ストレス処理をすることにより発現誘導される遺伝子(cDNA)の機能を明らかにし、それを利用したコムギの塩耐性・感受性の遺伝様式を明らかにすると共に、塩耐性コムギ系統の育成を行うことを研究の目的とした。 平成13年度の研究実績 前年度までの研究成果として、1)コムギに150mMnaClを処理することにより一過的に発現する遺伝子を単離し、2)それらの遺伝子の発現様式を調べ、さらに、3)それらの座乗染色体を明らかにした。 本年度は、6倍性コムギおよびAゲノム2倍性コムギで育成された組換え近交系統を用いて、塩耐性に関係する遺伝子座位の同定をQTL解析によって行った。前者は147系統、後者は114系統の遺伝分離集団である。塩耐性はiin vitro培養系の2mMNaClを含む寒天培地上での幼植物の生育阻害(FW阻害率)により評価した。その結果、6倍性コムギの塩耐性は11種のRFLPマーカーと、2倍性コムギでは6種のRFLPマーカーと有意に連鎖していた。前年度までに単離した塩誘導遺伝子はそれなの中に含まれていなかった。しかし、前者の中に別途コムギから単離した低温誘導性cDNA断片の一つが含まれていた。インターバル・マッピングの結果、6倍性コムギの塩耐性QTLは、2A,3A,3B,5B,6B,7A,7D染色体にピークを持ち、2倍性では2A,5A染色体を持っていた。いずれのピークも2.0以下のLOD値を示し、寄与率も低く、それぞれの座位単独では強い効果を示さなかった。 これらの結果は、コムギ類の塩耐性遺伝子は多数あり、相互に関係して表現型を示すことが判明した。また、6倍性と2倍性では塩反応性に関し、同じ遺伝子が働いていないことを示した。しかし一方で塩耐性の遺伝率は高く、分離集団は大きな幅を持つため、さらに精密な遺伝地図による分析が必要であることの結論であった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Nemoto, T.Sasakuma: "Differential stress responses of early salt-stress responding genes in common wheat"Plant Science. (印刷中). (2002)
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[Publications] C.Shindo, T.Sasakuma: "Two-gene systems of vernaliztion requirement and narrow-sense earliness in einkorn wheat"Geneome. (印刷中). (2002)