2001 Fiscal Year Annual Research Report
園芸作物の栽培でこれまで見過ごされてきた急激な葉温降下のストレス-その生理障害の重要性と発生機構の解明
Project/Area Number |
12460015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 孝洋 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40173009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 宗孝 京都大学, 農学研究科, 助手 (40301246)
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Keywords | イワタバコ科 / 生理障害 / リーフスポット / 葉温降下 / 環境ストレス / 物理刺激 / 活性酸素 / 過敏感細胞死 |
Research Abstract |
本研究課題で取り上げる黄色斑状の生理障害は,本来植物が持つ外敵(病害虫)に対する防御反応が,別の物理刺激により過敏感に反応して起こる現象であるととらえることができる.そこで,(1)どれくらいの温度変化が障害誘導刺激として認識されるか,(2)刺激処理後の組織における活性酸素の発生様相,(3)障害発生細胞の細胞死(アポトーシス),(4)傷刺激の伝達機構,(5)過敏感反応を発生する時の植物の生理状態,を明らかにする目的で様々な実験を行った.また,主要な園芸作物で類似の障害発生が栽培上で問題になっていないかを聞き取り調査した.(2)(3)(4)の実験については定量方法に問題があり,今後さらに検討する必要があると考えられた.主な研究成果は以下のとおりである. 1.これまでの研究では,葉温の降下程度と障害発生程度との間の関係しか調べてこられなかった.すなわち,8℃程度葉温が降下しときに障害が発生するということしか分からなかった.葉温降下は急激なもの(頭上かん水や降雨によるもの)から緩やかなもの(日射や気温変化によるもの)まで,植物には日常的に起こっている.急激な温度変化が刺激として認知されるには,温度の降下速度が重要であると考えられる.速度を変えて実験したところ,3℃/秒以上の速さで温度が降下したときに障害が発生した.温度の絶対的な降下程度ではなく,降下の速さが重要で,急激な表皮収縮が外部刺激として認知されるのではないかと考えられた. 2.傷刺激に対する急激な細胞死には温度,光強度,.湿度などの環境要因が関与していること,および植物には物理刺激に対して非常に敏感な状態(過敏感状態)が存在することが示唆された.過敏感状態はそれ以前に受けた傷や温度変化などで誘導された興奮(警戒)状態で,その後の外部刺激に対して全身の感度を高める状態ではないかと考えられた.
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[Publications] SooJung Yang, Takahiro Hayashi, Susumu Yazawa: "The local wounding induces hypersensitive state of stimuli to injure the distant unwounded leaf in Acanthaceae and Gesneriaceae plants"Journal of Plant Research. Vol.114 Supplement. 76 (2001)
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[Publications] Jae Gill Yun, SooJung Yang, Takahiro Hayashi, Susumu Yazawa: "Leaf injury induced by temperaturedrop shock in Acanthaceae and Gesneriaceae plants"Korean Journal of Horticultural Science & Technology. Vol.19. 153-158 (2001)