2000 Fiscal Year Annual Research Report
紫外光照射によるブドウ果実のアントシアニン生成促進とその機構解析
Project/Area Number |
12460016
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保田 尚浩 岡山大学, 農学部, 教授 (70033272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 文夫 岡山大学, 農学部, 助手 (60294443)
久保 康隆 岡山大学, 農学部, 助教授 (80167387)
片岡 郁雄 香川大学, 農学部, 教授 (60135548)
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Keywords | ブドウ / 着色促進 / 紫外光 / ABA / アントシアニン合成 / PAL活性 / PAL遺伝子 |
Research Abstract |
ブドウは、果皮色の違いからピオーネに代表される黒色系、デラウエアーのような赤色系およびマスカット・オブ・アレキサンドリアのような白色系品種に分けられる。黒色系と赤色系品種では、着色程度が市場価値を決定する重要な指標となっている。これまでに、ブドウ果実のアントシアニン合成は、成熟期のABA処理や紫外光(UV)照射によって促進されること、アントシアニン合成経路の中で、その入り口に位置するフェニールアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性が重要な律速段階になっていることが明らかにされている。本研究では、着色促進技術の改善を目指して、ブドウ果実におけるアントシアニン合成の制御機構を分子レベルで解明することを目的に、PALをコードする遺伝子のクローニングとその発現解析を試みた。ピオーネ果皮よりRNAを抽出し、RT-PCR法およびRACE-PCR法により、PALをコードする3種の全鎖長cDNAのクローニングに成功し、Vv-PAL1,Vv-PAL2およびVv-PAL3と命名した。このうち、Vv-PAL3はデータベースに登録されているブドウのPAL遺伝子と同一であったが、他の2種は新規遺伝子であった。それぞれのcDNAは約2,500の塩基からなり、PAL遺伝子に特徴的な保存領域を含む約380アミノ酸のオープンリーディンクフレームを有していた。発現解析の結果、幼果期には着色、非着色品種に関わらず、いずれの品種でもPAL遺伝子の強い発現がみられたが、成熟期には着色品種でのみPAL活性の促進と一致した遺伝子発現の上昇がられた。また、ABA処理によるピオーネの着色促進には、Vv-PAL2遺伝子発現の促進が伴っており、アントシアニン合成における同遺伝子の重要性が示された。また、グローコールマンではUV照射によって、アントシアニン蓄積の増加と特異的なVv-PAL3遺伝子の促進が認められた。
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