2001 Fiscal Year Annual Research Report
構造遺伝子に由来しない薬剤感受性低下アセチルコリンエステラーゼの生成機構
Project/Area Number |
12460020
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河野 義明 筑波大学, 農林学系, 教授 (10225386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)
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Keywords | 有機りん殺虫剤 / 殺虫剤抵抗性 / アセケルコリンエステラーゼ / 薬剤感受性低下 / 分子機構 / アミノ酸置換 |
Research Abstract |
昆虫AChEのアミノ酸高度保存領域に対応するプライマーを使ったPCRにより、新たにワタアブラムシ(5'末端に未解読部分がある)、ナミハダニ、カンザワハダニ、コナガのAChE・cDNAをクローニングし、その配列を明らかにした。各害虫で感受性系統と抵抗性系統のAChEアミノ酸配列を比較したところ、ナミハダニでは1アミノ酸が置換したAChE・cDNAが抵抗性系統で見られたが、それが感受性低下の原因だと結論することは出来なかった。コナガでは塩基置換が多く現在解析中である。ワタアブラムシ、カンザワハダニでは感受性、抵抗性系統間でAChE・cDNAにアミノ酸置換を示すものは認められなかった。コガタアカイエカの有機リン剤抵抗性因子の連鎖群解析結果は、AChE構造遺伝子と感受性低下因子とが別の染色体に存在することを示したことから、キイロショウジョウバエ、イエバエなどを除く殆どの昆虫、ダニではAChE薬剤感受性低下の要因はAChE構造遺伝子にはなく、蛋白が高次構造を形成する間に働く修飾要因が感受性低下を決定していると結論された。 遺伝子レベルでの修飾遺伝子追求は現在の研究段階ではかなり困難と思われる。そこで、コガタアカイエカの感受性、感受性低下AChEを精製して、両者を比較することで、感受性低下AChEではどのような修飾が起きているかを探ることにした。AChE阻害剤をリガンドとしたアフィニティ・ゲルによる精製を試みた結果、感受性AChEは使用したゲルで分離できるが、感受性低下AChEではゲルに非常に吸着し難いことが判明した。この実験の間に得られた知見から、感受性低下AChEでの構造変化がペリフェラル・アニオニック・サイトに起きているのではないかと考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kozaki, T., T.Tomita, T.Shono, Y.Kono: "Polymorphism in the acetylcholinesterase gene of the housefly, Musca domestica L."Appl. Entomol. zool.. 36. 377-380 (2001)
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[Publications] Mori, A., T.Tomita, O.Hidoh, Y.Kono, D.W.Severson: "Comparative linkage map development and identification of an autosomal locus for insensitive acetylcholinesterase-mediated insecticide resistance in Culex tritaenyorhynchus"Insect Mol.Biol.. 20. 197-203 (2001)
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[Publications] Kozaki, T., T.Shono, T.Tomita, D.Taylor, Y.Kono: "Linkage analysis of an acetylcholinesterase gene in the housefly, Musca domestica L."J.Econ.Entomol. 95(印刷中). (2002)
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[Publications] 河野義明: "アセチルコリンエステラーゼの感受性低下による殺虫剤抵抗性"植物防疫. 55. 316-320 (2001)