2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物による土壌有機化合物の吸收利用とその生理的意義
Project/Area Number |
12460033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安藤 忠男 広島大学, 生物生産学部, 教授 (90034470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 俊徳 広島大学, 生物生産学部, 助手 (80237502)
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Keywords | 吸收 / 植物根 / 土壌有機物 / 土壌溶液 / 有機化合物 |
Research Abstract |
1)土壌溶液採取法の検討:土壌溶液採取法として、土壌試料の撹拌程度が小さい吸引法を選び、土壌溶液成分組成に及ぼす土壌の種類や採取調製土壌の処理による影響を検討した。その結果、現地採取土壌溶液では、土壌の種類や水分条件により有機態炭素量や無機成分組成、採取量に大きな変動があった。有機物に富む現地土壌では最高94.8mgC/Lの有機態炭素濃度が観測された。採取土壌の粒経や水分を調節後25℃で培養した場合、培養開始24時間以内では土壌溶液無機成分の変動が大きかったが、1-5日間では比較的安定していた。溶液中の有機態炭素濃度は、現地採取土壌、採取直後の調製土壌と7日間培養土壌で良く一致した傾向を示しており、調製土壌を3日間25℃で培養後溶液採取することにより、植物が接する土壌溶液組成を推定できるものと考えられた。 2)土壌溶液中の有機化合物の検索:土壌溶液中の有機化合物をODSカラムとフォトダイオードアレイ紫外検出器を装着したHPLCで分析した。0.05%トリフルオロ酢酸を含む蒸留水とメタノールのグラジェントで12種のフェノール酸系化合物標品を分離分析可能であったが、土壌溶液中には標品のリテンションタイムと一致する有機化合物はなかった。しかし、硝酸イオンや亜硝酸イオンの他に紫外吸収を示す物質は20以上検出され、現在これらの有機化合物の同定を進めている。土壌溶液中には紫外に強い吸収を示さない有機化合物も多いものと推定され、他の検出器を用いた検索が必要である。また、土壌培養処理により検出化合物数は増加する傾向にあり、培養期間中の土壌有機化合物の代謝の視点から検討する必要もある。 3)植物による有機化合物の吸収:植物による有機化合物の吸収量を測定するための装置を検討した。一つは吸収液循環型で水位を一定に保ちつつ、試料の採取が可能である。他は砂培地集積型で低濃度の有機化合物の分析に適した装置である。いずれも開放環境下における吸収予備実験で検討を進めている。
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