2000 Fiscal Year Annual Research Report
グリコシダーゼの分子機構および分子進化に関する研究
Project/Area Number |
12460035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
千葉 誠哉 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30001449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 春英 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80241363)
木村 淳夫 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90186312)
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Keywords | α-グルコシダーゼ / グリコシダーゼ / 分子進化 |
Research Abstract |
我々は、α-グルコシダーゼが異なる一次構造・基質認識を有する2つのファミリー(I型とII型)に分類できることを見い出した。糖質酵素では例のない"収斂進化"である。さらに、I型ファミリーの構造はα-アミラーゼなどと類似し、"発散進化"と捉えられる。II型酵素にも"発散進化"が見られ、α-キシラナーゼとα-グルカンリアーゼの構造と類似する。これらの事実は、α-グルコシダーゼファミリーの構造・機能に関する微視的な解析が、グリコシダーゼに適用できることを暗示している。本課題の目的は、ファミリー間の基質認識・機作の相違をアミノ酸レベルから分子解剖し、得た知見を相同のグリコシダーゼに発展させることである。本年度は以下に示す研究成果が得られた。 (1)I型ファミリー酵素の触媒基推定にα-アミラーゼの三次構造情報が使用できる(2残基のAspと1残基のGluが触媒アミノ酸)。異種宿主発現が可能なミツバチ酵素を用いてAsp→Asn、Glu→Glnの置換を行った。組換え体の粗抽出液には活性が検出されなかった。現在、3種の変異酵素の精製を行っている。(2)II型ファミリーのうちで、発現が可能な分裂酵母の酵素を用いて、触媒アミノ酸を検討した。既に、2残基の酸性アミノ酸が触媒基と推定されている。本ファミリー(17種)のアミノ酸配列中に保存されている8残基の酸性アミノ酸を置換した。精製した組換え酵素の活性からAsp-481とAsp-647が触媒基であると判断された。Asp-647はプロトン供与体であり、II型酵素で初めて明らかにされた知見である。(3)同位体効果測定のための基質としてフェニルα-マルトトリオシド-1,1",1′′′^2-H_3の合成に成功した。α-グルコシダーゼとグルコアミラーゼを作用させると、同位体効果が観察され、反応の遷移状態にオキソカルベニウム中間体の存在が示唆された。
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[Publications] A.Kimura: "Molecular Anatomy of α-Glucosidase"Trends In Glycosci.Glycotechnol.. 12・68. 373-380 (2000)
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[Publications] T.Takayanagi: "Evidence for A Single Active Site on Isomalto-dextranase with Hydrolysis Activities of α-1, 6-and α-1, 4-Glucosidic Linkages"J.Appl.Glycosci.. 48・1. 55-61 (2001)
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[Publications] M.Okuyama: "Carboxyl Group of Asp-647 Residues as Possible Proton Donorin Catalytic Reaction of α-Glucosidase from Schizosaccharomycespombe"Eur.J.Biochem.. (印刷中). (2001)
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[Publications] M.Nishimoto: "Purification and Substrate Specificity of Honeybee, Apismellifera L., α-Glucosidase III "Biosci.Biotechnol.Biochem.. (印刷中). (2001)
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[Publications] T.Mizuno: "Isolation and Sequence of α-Glucosidase Gene from Brevibacterium fuscum var. dextranlyticum Strain 0407"J.Appl.Glycosci.. (印刷中). (2001)