2000 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリア呼吸鎖におけるユビキノン酸化還元反応の分子機構と構造的基盤
Project/Area Number |
12460045
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松下 一信 山口大学, 農学部, 教授 (50107736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 守 山口大学, 農学部, 助教授 (30174741)
茂木 立志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90219965)
三好 秀人 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20190829)
外山 博英 山口大学, 農学部, 助手 (60240884)
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Keywords | アジドキノン / 光親和性標識法 / ユビキノン / 大腸菌チトクロムbo / 酢酸菌アルコール脱水素酵素 / 呼吸鎖 |
Research Abstract |
本研究では、大腸菌および酢酸菌呼吸鎖、特に大腸菌のチトクロムboおよびグルコース脱水素酵素と酢酸菌アルコール脱水素酵素(ADH)、におけるユビキノンの酸化還元反応の分子機構を解明するための第一段階として、光親和性プローブを導入した合成ユビキノン類(アジドキノン)を用いた光親和性標識法を確立し、それに続くMALDI-TOF-MSによる標識ペプチドの解析によってユビキノン結合ドメインを同定することを当面の課題としている。本年度は以下に示す結果を得ている。 1)アジドキノンを合成するにあたっての重要な課題は、天然型のユビキノン構造をできる限り維持した上で、アジド基を位置特異的に導入することであった。本研究では、本来メトキシ基が置換しているキノン環上2-および3-位にアジド基を導入する計画を立てた。種々検討の結果、アジド基を導入する前駆体として2-および3-位に位置特異的にメシル基を有する化合物の合成を達成した。この化合物に対してアジド基の導入を行い、2-azido-Q2および3-azido-Q2をそれぞれ合成開発した。これらの化合物は、水溶液中でNaBH4によってキノール型に還元されることを確認した。また、UV照射によって経時的にアジド基が光分解することも確認した。 2)大腸菌チトクロムboの2つのキノン酸化還元部位の構造はX線構造解析では同定することはできない。そこで、キノン部位の構造を解析する第一歩として、上述のようにして得られた2種類のアジドユビキノンでの大腸菌チトクロムboの光親和性標識分析の条件を決定した。 3)酢酸菌ADHにおいても、両アジドキノンとの標識化条件を決定した。その後、その標識化酵素のMALDI-TOF-MS分析によって、酵素の中のサブユニットIIが特異的に標識化されていることが明かとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Uchida,T.: "Resonance Raman studies of oxo intermediates in the reaction of pulsed cytochrome bo with hydrogen peroxide"Biochemistry. 39. 6669-6678 (2000)
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[Publications] Kobayashi,K.: "Transient formation of ubisemiquinone radical and subsequent electron transfer processes in the Escherichia colicytochrome bo revealed by pulse radiolysis"Biochemistry. 39. 15620-15625 (2000)
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[Publications] Tsubaki,M.: "Probing molecular structure of dioxygen reduction site of bacterial quinol oxidases through ligand binding to the redox metal centers"J.Inorg.Biochem.. 82. 19-25 (2000)
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[Publications] Elias,L.D.: "Functions of amino acid residues in the active site of Escherichia coli PQQ-containing quinoprotein glucose dehydrogenase"J.Biol.Chem.. 275. 7321-7326 (2000)
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[Publications] Miyadera,H.: "Altered quinone biosynthesis in the long-kived clk-1 mutants of Caenorhabditis elegans"J.Biol.Chem.. (in press). (2001)
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[Publications] Matsushita,K.: "Biochemistry and Molecular Biology of vitamin B6 and PQQ-dependent proteins"Birkhauser Verlag AG. 377 (2000)
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[Publications] 松下一信: "廣川タンパク質化学 第4巻酵素 4.1 オキシドレダクターゼ"廣川書店. 353 (2000)