2001 Fiscal Year Annual Research Report
腸管細胞での異物応答に関わるトランスポーターの分子機構と食品因子による調節
Project/Area Number |
12460055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30114507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 隆一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50187259)
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Keywords | 腸管上皮細胞 / P-糖タンパク質 / トランスポーター / 機能性食品 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト腸管上皮細胞Caco-2におけるP-糖タンパク質(P-gp)の活性測定系の確立と、それを用いたP-gpの異物排出活性に影響を及ぼす食品成分の探索に着手した。まず、これまで用いてきたローダミン以外にP-gpの基質として知られているダウノマイシン(トリチウム標識体)を用いてP-gpの活性測定を行ない、より感度が良く定量性の高い測定法として使用できること確認した。そこで、これを用いて様々な食品抽出物を検索した結果、ニガウリをはじめ数種の試料にP-gpの活性を抑制する活性があることを見出した。透過性膜上に培養したCaco-2細胞層を用いてダウノマイシンの細胞層における挙動を観察したところ、上記の試料は、粘膜側から基底膜側へのダウノマイシンの透過を顕著に促進し、逆向きの透過(体内からの排出)を抑制することが認められた。ニガウリ中の活性成分は主として水抽出性であり、現在これをSep-pakカラムで分画中であるが、主要な活性成分は耐熱性の低分子であることが見出されている。一方、内分泌かく乱物質として知られているトリブチルスズ(TBT)存在下でCaco-2細胞を培養したところ、P-gp(MDR-1)の活性上昇が観察され、またそのmRNAレベルでの増加も見出された。すなわち、TBTのような物質の食品中への混入がP-gp活性発現に影響を及ぼすことが示唆された。 腸管における異物対応に関わるトランスポーターとして注目しているもう一つのトランスポーターであるタウリントランスポター(TAUT)については、本年度はサイトカインによる制御の研究を進め、Tumor necrosis factor (TNF)-αが腸管上皮でのTAUT活性を上昇させる事を見出した。本年度は両トランスポーターの協調的な制御についても併せて検討していく予定である。
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