2001 Fiscal Year Annual Research Report
疑似血流とリンパ流を具備した疎水性物質用腸管吸収モデルの構築
Project/Area Number |
12460057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松野 隆一 京都大学, 農学研究科, 教授 (30032931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 元啓 京都大学, 農学研究科, 助手 (60293916)
木村 幸敬 京都大学, 農学研究科, 助手 (70211878)
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Keywords | 腸管吸収モデル / 疎水性物質の吸収 / Caco-2細胞 |
Research Abstract |
本研究では、血流とリンパ流を独立に制御でき、疎水性物質の腸管からの吸収過程を生体での現象と比較できる簡便な腸管モデルの確立を目的としている。平成13年度は、疎水性物質の透過速度の大きい膜の選定、装置混合のための撹拌速度の設定、疎水性物質の透過過程での細胞内蓄積の可視化、電荷を有した疎水性物質間の静電的相互作用が吸収過程に及ぼす影響について検討した。 昨年度にそれぞれ疑似血液・疑似リンパ液として選定した生理塩溶液とトリカプリリンの間に膜を設置するモデノレを検討した。膜には、孔径0.45μmの小孔を有する様々な素材の親水性または疎水性メンブランフィルダーを用いた。疎水性物質のフラボンを最も良く透過したのは、疎水性のポリビニリデンフロライド製の膜であった。膜で隔てられた0.77mlの小室を完全混合するために必要な微細な攪拌端子を作成し、200〜300rpmの攪拌速度が最適であることを見いだした。次に、疎水性物質が細胞層を透過する際に細胞内のどの経路を透過するかを、疎水性の蛍光物質ローダミン123を使用し、蛍光顕微鏡で観察した。ローダミン123は、速やかに細胞層の膜系に蓄積された。正の電荷を有するローダミン123に、負の電荷を有する脂肪酸を同時に供与した場合、蛍光物質の蓄積量と透過速度が増加した。このことは、電荷を有した疎水性物質間の静電的相互作用が吸収過程に影響を及ぼすことを示唆している。疎水性物質の吸収速度を評価するためには、摂取した物質間の相互作用をも考慮する必要がある。
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